コロナ禍での夏学期を終えて
中島 惇さん
人文学部 人文学科
留学期間:2020年8月(留学4ヵ月目)
留学先:ライプツィヒ大学
4月の第二週目から始まった夏学期が無事に終わりました。もちろん新型感染症の影響は大きく、今学期は想定していたものとは大きくかけはなれていました。授業は引き続きオンラインで行われていたものの、6月に入ったあたりから、外出制限がなくなり、あらゆる店が再び開きはじめました。みなが普通の生活に戻ろうとしているようでした。今でも公共交通機関やスーパーではマスク着用と客同士で距離を保つことが義務付けられていますが、生活に目立った支障はありません。しかし3月、4月は、めまいがするほどいろいろなことが立て続けに起きていました。その時期の状況について、授業について、そして最後にこの半年で私が特に困ったことについて報告します。
まず、私は3月12日にドイツに到着しました。その時点では、3月末からオリエンテーションコースが普通に始まると思っていました。変わったことといえば、機内で簡単な健康状態のアンケートを書かされたこと、フランクフルト空港や中央駅でマスクをつけた人が少し多かったことぐらいでした。到着した翌日に学生寮へ赴き、入居手続きを済ませ、その日のうちに近くのショッピングモールで必要なものを買いそろえることができました。しかし、生活も軌道に乗りはじめたと思った矢先、ドイツに対する外務省の感染症危険レベルが2へ引き上げられます。教室で予定されていたオリエンテーションコースのクラス分けテストは前日になって中止になりました。この週からスーパーや食料品店をのぞく、おおよそ全ての店が閉まりはじめ、私がWi-Fi機器を買った家電量販店も、布団カバーを買った寝具店もいつの間にか閉まっていました。さらに、極力外出を控えること、公共交通機関やスーパーを利用する際はマスクを着用することが義務付けられました。その後、感染症危険レベルは欧州のほぼ全域に対してレベル3となり、私の知る限りのライプツィヒに住む日本人学生は全員帰国してしまいました。先が見えないという不安から私も帰国することを真剣に考えましたが、オンラインで授業が継続的に受けられそうだと判断し、ライプツィヒに残ることに決めました。
授業について、今学期私が受講したコースは三つです。うち二つはZoomでの授業、一つはメールで毎週課題が送られてくるというものでした。4月のうちは、「もしかしたら5月あたりからオンラインではなく通常の授業に戻れるかもしれない」とのことでしたが、5月の頭に全日程オンライン授業となることが決まり、このときはもうすでに「1日中部屋でパソコンの画面とにらめっこ生活」を続ける覚悟ができていました。期末試験はZoom上での口頭試験、そしてMoodleのプラットフォーム上に提出する筆記試験の二つでした。Moodleでの課題提出は信州大学で何度も経験していたので、戸惑うことはなかったです。
ドイツに着いてまず私が困ったことは、スマートフォンのSIMカードの契約と銀行口座の開設です。寮と大学ではWi-Fiが使えるため、SIMカードは必須ではないと思います。ただ、現地の電話番号が取得できることと、何かと遅延、運休しがちなDB(ドイツ鉄道)の乗換案内が出先でも使えることから迷わず買うことにしました。はじめ私は日本から持っていった、ヨーロッパ旅行者用のSIMカードを使い終えたあと、 キャリアの店舗に行きSIMカードを契約しようと考えていました。しかし、先述のとおり、キャリアの店舗もすべて閉まっていたため、スーパーでプリペイド式のSIMカードを買うことにしました。ドイツでは2017年7月1日から、プリペイド式のSIMカードの購入者は身分証明書の提示によるアクティベーションの手続きが義務付けられたため、私は専用のサイトからビデオ通話で担当者にパスポートを提示し、ようやくSIMカードが使えるようになりました。そして銀行口座についてですが、コースの授業料の支払いと寮の家賃を振り込むためのドイツの口座が到着後すぐに必要となりました。Sparrkasseという銀行の窓口で口座を開設する予定でしたが、まだチューターがついていなかったこと、開設に必要なSteuernummer(税金番号)がまだ郵送で届いていなかったことから、N26というインターネットバンキングで口座を開くことにしました。Web上で必要事項記入後、担当者とビデオ通話にてパスポートを提示して本人確認をおこなうだけで比較的簡単かつ早く口座をつくることができました。
新型感染症の影響とは関係なく、困ったことは寮の停電とブレーカーです。寮に着いて一週間経ったあたりから、土日平日、日中、夜間問わず突然停電することが多くなりました。寮全体が停電することもあれば、ある特定の部屋だけの場合もありました。仕組みは分かりませんが、温水はかろうじて出るタイプの停電と温水すら出ないタイプの停電の二種類がありました。平日、日中の停電ならどうにかなるのですが、土日の停電は管理人が寮におらず月曜まで待たされます。頼みの綱であるスマートフォンの充電が切れそうになった時は、同じ寮に住む日本人学生からバッテリーを借りていました。ブレーカーに関して、電熱コンロが四基あるのですが、そのうちの二基は使うと間髪入れずにブレーカーが落ちます。これは今でもそうです。管理人に問い合わせていますが、未だ直りません。このような設備の問題やそもそも寮から大学までが遠いことなど、思うところはたくさんありますが、部屋が広いわりに家賃が安いので、私はこの寮に満足しています。しかし、当然ですが希望の寮に入りたいのなら、なるべく早く入居希望を出すべきでした。(私は一月に入居希望を出し、結果、第三希望ですら叶いませんでした。)
今学期はとても貴重な経験をすることができ、自分自身の健康も保ちつつ生活できました。今現在、八月の時点では来期は通常の対面授業が予定されているので、引き続き健康に気を付けて残り半年も楽しんで過ごしたいと思います。