Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

熊倉 聖陽

ポーランド

ポーランド留学のすゝめ

熊倉 聖陽さん

繊維学部 科学・材料学科
留学期間:2019年9月 ~ 2020年2月
留学先:シレジア工科大学

留学先大学について

 シレジア工科大学はある大学ランキングによるとポーランドで10位の大学であり航空工学が看板学科です。自分はシレジア工科大学で化学工学を専攻していました。学生数は約2,000人で留学生の割合はだいたい半分です。学生寮も充実しており、自分の専攻の化学工学棟はかなり魅力的な建物でした。ポーランドのGliwiceという田舎過ぎず都会過ぎずという感じの都市に拠点を置いており、近隣都市のKatowiceは空港もあり、週末や長期休みは旅行に出かけるのにかなりアクセスが良いです。キャンパスのサイズは松本キャンパスよりも広く雰囲気は上田キャンパスと似ていました。ポーランドはヨーロッパにあるため留学生のほとんどはヨーロッパからの留学生で、アジアからの留学生はかなり珍しがられます。

学習面について

 私は化学工学を専攻していました。授業はセメスターⅢ。という2年前期にあたる科目から6科目、セメスターⅤ」という3年前期にあたる科目から2科目と教養科目のポーランド語を選択し、計週16コマ36単位を履修しました。ほとんどの科目は授業内に行われる小テストの合計で成績が決まるため、毎週それぞれの科目の小テストのために勉強していました。ほとんど遊ぶ時間はなく、大学受験の時と同じくらい勉強していました。アメリカに留学していた先輩から『化学系専攻はしっかり勉強しないとダメだめだよ』アドバイスをいただいていたので、毎日勉強していました。また、教授の都合などもあり1週間後のはずのテストが2日後になるといった急な変更にも対応でき、日々の勉強が生きました。そのおかげもあり学科では4位になることができましたし、ある科目では1位をとることができました。周りの友人が週末に旅行など楽しんでいる様子でしたが、誘惑に負けずに勉強に専念できたのでよかったです。現地の学生ですら、単位取得が難しいといわれている科目もいくつか履修してしまい、とても不安でしたが単位を取得することができました。日本にいるとバイトやサークルなど色々な誘惑があり、勉強にのみ専念することは難しいですが、留学先では誘惑は少なかったため、留学中はしっかり勉学に励むことができました。また、教養科目のポーランド語は様々な国の学生と交流できる良い機会であり、課題などは現地の友達にお手伝いしてもらったり、スピーチの練習相手や発音チェックをしてもらったりして交友関係を深めるとてもよいきっかけとなりました。

生活について

 ヨーロッパにあるということで、物価が高く生活費が日本よりもかかりそうというイメージがありましたが、ポーランド自体は日本よりも物価は低く生活がしやすかったです。外食は日本と同じぐらいの値段であるため物価の割には高かったので、ほとんど自炊して生活していました。ポーランドは冬が寒く豪雪地帯なイメージもありましたが、実際は大したことはありませんでした。長野県の冬にくらべたらなんでもありません。雪が積もることもなければ、気温が氷点下になることもありませんでした。自分が住んでいた寮も大学から徒歩10分のところにあり、寮から最寄りのスーパーマーケットまで徒歩1分ですし、それ以外にも大きなスーパーが徒歩5分のところにあるので生活する上での不便はなく、日用品も大体スーパーにあったのでとてもたすかりました。電車で30分くらいのKatowiceには空港があるため、長期休暇や3連休で旅行する時にはとても便利でした。欠点といえば寮の建物に洗濯機が2つしかないため、洗濯機は毎回争奪戦になっていたことくらいです。

留学で得たこと

 自分が留学を通して得たことは3つあります。まずは自分に正直になることです。自分は今まで控えめな性格であったがゆえに『自分が我慢すればいい』と思い、周りを優先し自分が我慢して生活してきましたが、相方との共同生活において嫌なことがあった時は相方に伝えるようになりましたし、自分の部屋だから自分のしたいこともしていいだろうという気持ちも芽生え、自分がしたいことをするようになりました。そのおかげで相方との相部屋生活に対してストレスがかなり削減されましたし、以前に比べ様々なことに積極的に取り組めるようになりました。次は、一生の出会いができたことです。日本人が大学に2人しかおらず、ましてやアジア人はかなり限られており、なかなか交友関係が広げられない中、日本人という珍しさから声をかけてもらったり、お互い共通の趣味の話題で語り合ったりして交友関係を広げていきました。冬休みの長期休暇では、ロンドン出身の友人の家に4泊5日することができ、別の友人とはオリンピックシーズンに日本に来る際に観光名所を案内する約束など、留学先で出会わなければできなかった一生モノの出会いがあったことです。そして最後に努力の仕方です。最初の1か月は環境に慣れていないせいもあり、日々の勉強の成果が振るわずクラス内の順位は6~10位の間を行き来しており、留学前の目標であった上位5位以内とは少し距離がありました。2ヶ月目にある科目でクラス3位になったことをきっかけにそこからは安定して上位5位以内をキープすることができました。最初の1か月は大学受験時と同じくらい勉強しても結果が出ずに頭を抱える日がありましたが、結果が表れるまでめげずにコツコツ勉強とたまに息抜きをしながら努力を重ねていくことができました。この経験を機に、結果が出るまでが努力であることを学び、一番大事なのは続けることだがわかりました。

後輩へのアドバイス、信州大学へのメッセージ等

 今これを読んでいる方で留学を考える人に伝えたいことは『行動する』ということです。留学する前に不安がなかったということはいないと思います。その不安を国際企画課のスタッフの方々、留学されたOBOGの方に質問してみたりして不安をできる限り解決し、行動していってください。もちろん留学によって得られるものもたくさんありますが、失うものもあります。語学試験の基準を満たすために友人と遊ぶ時間を削って勉強したり、留学のしかたによっては留年してしまい、友人とは学年が離れ、知り合いのすくない学年と授業を一緒に受けなければならなかったりします。留学に対して踏み出せずにいる人は自分が何に迷っているのかを明確にし、不安なところを解決できるように行動してください。OBOGはもちろん国際企画課の方々も親身になって協力していただけます。自分は奨学金から派遣先大学の選び方までご相談にのっていただき、なにからなにまで助けていただきました。


 最後になりますが、この留学に際して、奨学金支援をしてくださった知の森基金様、派遣先から何まで協力してくださった国際企画課の職員の方々、本当にありがとうございました。とても充実した留学になりました。この留学で学んだことを生かし、これから自分の描く将来像に近づけるように精進してまいります。