心に留める学びを
瀧沢 快斗さん
教育学部 学校教育教員養成課程
留学期間:2019年9月~2020年6月(オンライン受講期間含む)
留学先:ゾイド大学
留学先大学について
ゾイド大学はオランダの南に位置するマーストリヒトという町にある大学です。私が通っていたキャンパスには三つのコースがあり、ビジネスに関するコース、言語コミュニケーションに関するコース、ヨーロッパについて学習するコースに分かれています。現地学生だけでなく、多くの留学生も在籍しているため、非常に国際色豊かな学校です。キャンパスはそれほど大きくありませんが、比較的綺麗で生活しやすいと思います。一番魅力的だと感じたことは、言語コミュニケーションに関するコースの中に日本語・日本文化を専攻する学生がいるので親日な学生が多く、自国について見直すためのとても良い刺激を受けることができたという点です。
学習面について
私が選択したOTCと呼ばれる言語コミュニケーションに関するコースは、授業や時間割がパッケージとして全て組まれているため、基本的に履修等はなく用意された講義やワークショップを受講します。内容は大きく、留学生向けの英語の授業、コミュニケーションについて学習する授業、日本の文化や歴史を学習する授業に分かれており、全て英語で行われます。もちろん初めのうちは、英語を理解することに必死でノートをとるにも追いつかないような感じでしたが、現地学生や先生の協力を得ながら何とか単位取得までたどり着くことができました。中には難しい内容や日本での専攻とは関係ない授業もありましたが、どれも興味深いもので、OTCのコースを選択してよかったと思います。
生活について
オランダで生活してみて、もちろんお店で店員さんには基本オランダ語で話しかけられる、電車の案内や町の標識はオランダ語というような少し大変なことはありますが、英語で話しかけ直すと英語で応答してくれるし、スマホ等を駆使すれば、大きな不便を感じることはないと思います。一日の生活は朝、学校に行き講義を受け、空きコマは現地学生と一緒に課題をしたり、カフェでお話をしたりして時間を過ごし、放課後はスーパーに寄って食材を買い、寮で夕飯を作って食べ、曜日によっては所属していた現地のサッカーチームの練習に参加していました。やはりアルバイトをしないと放課後や休日に自由な時間が生まれるのでどのように有効活用するかが非常に大切だと感じました。
留学で得たこと
留学前の私の一番大きな目標は英語力の向上でしたが、英語力向上より価値のあることをたくさん学ぶことができました。
数ある中からいくつか例を挙げると、一つ目に宗教・文化についてです。あまり日本にいては世界の宗教に触れることはできませんが、オランダはとてもマルチカルチャーな国なので、いたるところで宗教や文化の違いを体験することができました。ハラル製品が少ない日本でイスラムの人たちは肉料理を楽しめないのか、日本の学校の授業中に留学生がお祈りに行く時間を設けなくていいのか、本当に考えさせられました。
二つ目に日本の英語学習に対する考え方です。私は留学する前、四技能の中では一番リスニングを得意としていました。しかし、ヨーロッパで生活してみて一番苦労したのはリスニングでした。なぜなら世界中から集まった人たちが自国のアクセントで、私たちが日本語を話すようなスピードで会話をするからです。はっきりとした、聞き取りやすいアメリカアクセントの教材が多く使用される日本の英語教育。そして、それに慣れてしまっている日本人英語学習者。果たして私たち日本人は70億分の数億の人たち(アメリカアクセントの人たち)とコミュニケーションをとるために英語を学んでいるのか、ほとんどの単語が聞き取れるようなスピードで話される英語が世界のどこで話されているのか、これもまた考えさせられました。
後輩へのアドバイス、信州大学へのメッセージ等
今回の留学を通して、英語学習のための留学の時代はもう終わったのかもしれない、そう実感しました。英語で書かれた多くの研究論文や文献は日本にいてもインターネットを使えば簡単にアクセスできます。英語によるコミュニケーション能力を高めたいなら、日本にいても留学より安い金額で世界中の人とオンライン英会話ができます。今はそんな時代なのです。しかし、誰とでも、何にでも気軽に繋がることのできる時代だからこそ、自分の肌でしか感じることできないもの、あふれかえった情報に隠れてしまった現地の現状、自国にいては気づくことのできない文化や習慣・価値観の違い、そういった日本にいてはアクセスことのできないものを見つけるために後輩のみなさんにはぜひ留学に挑戦してほしいと思います。
最後になってしまいましたが、今回の留学は、本当に多くの人に支えられ、応援され、励まされ実現することができました。交換留学という環境を整えてくださった信州大学をはじめ、奨学金支援してくださった日本学生支援機構、様々な手続きのためにご協力いただいたグローバル化推進センターの担当の方々、教育学部学務係、指導教員の先生方、そして常に近くで応援してくれた家族や友達、先輩方。たくさんの支援があり、実りの多い留学ができたことに心から感謝しています。本当にありがとうございました。