Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

安本 敦子

オランダ

経営学とスポーツと旅行と就活に全力疾走―オランダでの1年間

安本 敦子さん

教育学部 学校教育教員養成課程
留学期間:2016年 8月 ~ 2017年 7月
留学先:ゾイド大学

留学先大学について

 オランダには日本の大学のように学問の研究を目的とする「University」と、学問よりも職業に繋がる実践を重視した「University of applied science」とがあり、ゾイド大学は後者にあたる、いわば職業専門学校のような位置付けの大学です。カリキュラムも、最終的には社会で実践的に使うことを想定して組まれている印象でした。選ぶコースによっては、現地の正規生と同じカリキュラムで一年勉強することが出来、より現地の学生に近い生活が出来ることが特徴です。正規生はオランダ人が多いですが、アジア、中東、他のヨーロッパからの学生もおり、授業もグループワークも全て英語で進みます。学校のあるマーストリヒトは、治安もよく、のどかで美しい、ちょうどよい規模の街で住みやすかったです。

学習面について

 基本的にはコース毎に予め授業が組まれています。授業が重なっていなければ、他コースの授業も履修可能なようです。選択可能なコースは主に、①OTCという東方言語学部の中で日本人向けに開講されているコース(英語重視)②European Studiesというヨーロッパの文化や法などを学ぶコース③International Businessというマーケティングや会計といった国際経営を学ぶコースの3つでした。私はかねてからビジネスを学びたいと考えていた為、③International Businessを選択し、現地の1年生と全て同じ授業を履修していました。このコースでは座学とグループワークが同じくらいの比率でした。マーケティングについて、前半で講義を聞いて知識を付け、後半はグループで新規ビジネスを考え、その商品やサービスについてのマーケティング調査をするという授業がありました。一つのプロジェクトにつき、グループワークの前の講義を合わせると約2か月弱です。ここでは、授業内容を理解した上で、主体的に発言することが求められます。どのコースでもグループワークが必ずあるので、英語でのコミュニケーション力はもちろん、協力して物事を進める力や、相手を尊重しながらもはっきり意見を言う力が身に付く環境だと思います。このようなプロジェクト関係以外でも、第二外国語や、選択科目もあります。私は、外国語としてオランダ語、選択科目としてSocial mediaのビジネスとしての利用法の授業や、毎週違う起業家が来て講義をしてくれる国際起業理論の授業などを取っていました。前述した大きなプロジェクトのレポート提出は4半期に一度ですが、そのような選択科目の授業では、毎週レポート提出やプレゼンテーションがあったりして、レポートの書き方やプレゼンとその資料の作り方が鍛えられました。

生活について

 大学と提携の寮に住んでいました。寮は学校から7-8キロあり、学期の始まりに買った中古自転車で、30分ほどかけて通学していました。寮には交換留学生だけでなく、現地で働く人や、市内の別の大学の正規生なども住んでおり、様々な人と顔を合わす環境でした。寮の建物自体は新しくはありませんが、個々の部屋はそこそこきれいで、大きさも快適、また自分用のトイレとシャワーがあり便利でした。キッチンは1フロア(約20人)に1つ共有する形で、一度に5-6人料理しても大丈夫なキャパシティでした。ただし、清掃は住人に任せられており、協力し合ってキッチンをどう清潔に保つかはどの階も課題のようでした。寮からシティーセンターや駅へは自転車またはバスで10-20分ほどで、さほど不便は感じませんでした。近くに小さなショッピングモールがあり、休日はシティーセンターまで行かなくてもそこで買い物を済ませていました。休日の過ごし方に関しては、カフェに行って勉強したり、夜は現地の学生とパーティーをしたり、オランダ国内、またはすぐ隣のベルギーに旅行したりしていました。また、私は市内にあるマーストリヒト大学のアルティメットチームに所属し、平日に2回の練習、月一度はオランダ国内の大会に出るなどして、自分の得意なスポーツを通してコミュニティを広げるようにしていました。インターネットやFacebookなどで検索すれば、スポーツや音楽などをやるコミュニティはたくさんあるので、多くの人と関わるという意味でもおすすめです。

留学で得たこと

 初めて自分が【少数派】を感じる環境で、「信頼を得ることの難しさ」を学びました。現地で出合う人々は圧倒的にヨーロッパ人が多く、私はアジア人の少数派でした。現地の学生はほとんど私たちに理解のある人たちでしたが、もちろん全員ではありません。深く関わりのない人の中には、「アジア人だから英語ができないだろう」「アジア人だから発言しないだろう」「英語ができないから他の能力も低いだろう」と思う人もいます。授業は全て英語でしたが、確かに理解も発言の質も周りの学生(ほぼオランダ人)よりずっと劣っていました。周りもそれを分かっていたので、グループに入れてもらえないこともありました。入れてもらったグループのメンバーも「この子は出来ないだろう」という前提で接してくる人もいました。それをどうやって挽回するのか、信用を得て、どう意見を聞いてもらえるメンバーになるのか、どんな局面でも永遠の課題でした。「とにかく積極的に参加する、不明なところは素直に聞いて、思うことをどんどん言う。突っ込まれたら、なぜそう考えたかを説明する。」という習慣が付いたことが一番の収穫です。悔しい思いもたくさんしましたが、それも含めて、全て日本にいては体験できなかったかけがえのない経験です。

後輩へのアドバイス・知の森基金へ一言

 私は、2つの目的があって留学に行きました。それは、「英語力を上げて、日本でのリーダーシップを海外学生の中でも発揮できる人になること」「ビジネスを学ぶこと」でした。この2つは私の中では9割達成されて、そこから新しい目標もできて、卒業後の進路やこれからのキャリアも決めることができました。これから留学に行く人は、是非「何を得て、どんな人になりたいのか」という自分の目標をもって、その目標達成するための手段としての留学にして欲しいと思います。それがあると、今後の人生やキャリアがより見えやすくなると私は信じています。留学を考えている人であれば、将来なりたい姿が必ずあるはずです。決して「なんとなく」の理由で行かず、「なぜ」を突き詰めて、得たいことを得る留学にしてほしいと思います。

 最後に、この貴重な学びの機会を与えてくださった信州大学とグローバル教育推進センターの関係者の皆様に、心から感謝申し上げます。