Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

伊藤 慎太郎

アメリカ

失敗したっていい!挑戦してみることで広がる自分

伊藤 慎太郎さん

工学部 電子情報システム工学科
留学期間:2019年8月~ 2020年3月
留学先:カリフォルニア州大学 サクラメント校

留学先大学について

カリフォルニア州⽴⼤学サクラメント校は、カリフォルニアの州都サクラメントにある公⽴⼤学です。敷地⾯積は信州⼤学⼯学部キャンパスのおよそ13倍もあり、施設⾯、⾃然⾯ともに充実している緑豊かなキャンパスです。図書館はもちろん、ジムやラグビー会場、Union というフードコートやアウトドアショップ、スターバックスやゲームルームなどがある多⽬的な施設もあり、キャンパス内で⽣活する上で不便は全く感じませんでした。キャンパス内を歩くのは学⽣や教授だけではなく、リスや七⾯⿃などの野⽣動物も⾃由に⽣活していて、⾃然と共⽣していることを感じられるキャンパスでした。インターナショナルの学⽣は決して少数ではなく、様々な国や地域から来た学⽣が多いため、同じ境遇の友達をたくさん作ることが出来ます。

学習面について

学期ごとに12単位から18単位の履修が必要でした。信州⼤学の単位制度と⽐べると⼀⾒少なく⾒えますが、ほとんどの授業が週に2〜3 回開講されるため、単位取得は同じような難易度でした。授業はもちろん全て英語で⾏われるのでそれだけ予習や復習に時間をかけなければいけませんが、毎⽇新しいことを学べるのでとても刺激的で楽しかったことを覚えています。Fall2019 の授業は基本的に「今まで履修したことがある内容」の授業を履修しました。次の学期の授業のための必修科⽬を履修したかったのと、英語だけの授業に慣れるためです。Spring2020 では、英語にも慣れてきたため「⾃分の興味のある分野」を中⼼に履修を組みました。具体的にはグラフィックデザインのクラスや、アートのクラスといった芸術系の授業を履修したのですが、全ての知識が新しく刺激的でとても楽しかったです。これから留学をしたい⼈の中には、単位互換を考えている⼈がいると思います。その場合は事前に履修できるクラスや履修するために必要な書類(特に英語で書かれた信州⼤学の該当授業のシラバス)などを早めに⽤意しておくとよりスムーズに進むと思います。

生活について

Japan Club というサークルに参加していたことで、友達関係での悩みを抱えることは全くありませんでした。いつも集まる部室のような場所では、いつでも誰かがそこにいて、話し相⼿になってくれていたので英語の練習ができ、友達を作ることも出来てとても充実していました。⼟⽇は⾞を持っているアメリカ⼈の友達や、仲のいいアメリカに住む⽇本⼈の友達とよく遊びに出かけました。「サークルや部活といったコミュニティに属すこと」、「⾃分にとっての『居場所』を⾒つけること」、「⽇本⼈やアメリカ⼈、もちろんその他の国籍の⼈とも分け隔てなく交流すること」が交換留学をより充実させるための絶対条件だと僕は思います。

多くの交換留学⽣はキャンパス内にある学⽣寮に住んでいましたが、僕はキャンパス外の学⽣寮で暮らしていました。そのために⾃炊や⽣活に必要な家具や道具などは⾃分で調達する必要があったのですが、それがとてもいい経験になりました。実際にアメリカのスーパーマーケットに通うことでおおよその物価を知り、⽇々街中を歩いて登校する事でサクラメントの情勢を知ることができたからです。その経験から1つだけ留学を考えている⼈にアドバイスしておくと、アメリカでどこかに出かけるときにはなるべく二人以上で明るいうちの⽅が安全です。

留学期間中にも冬休みなどまとまった休みがあったので、カリフォルニアの観光地によくプチ旅⾏に⾏きました。サンフランシスコはもちろん、ヨセミテ国⽴公園や Lake Tahoe、オールドサクラメントといったカリフォルニアならではの都会や⾃然を存分に味わうことができました。中でも、留学中に 3 回も訪れたサンフランシスコは様々な映画のロケ地になっている有名な場所ですが、そんな場所でも⽚道2時間で⾏けることが僕にとっては夢のようでした。特に僕の⼤好きな映画「猿の惑星」に登場するゴールデンゲートブリッジが⾒られた時はとても感動しました。

留学で得たこと

交換留学で⾃分の中に起こった⼤きな変化は、「多様性への理解」が深まったことと「挑戦する⼤切さ」に気づけたことです。「ブラックコーヒーが好きになった」とか「筋トレにハマった」とか⽬に⾒える変化もありましたが、最も変わったなと思える部分は他⼈と⾃分の違いを認められるようになった点だと思います。⼤学には⼈種、国籍、⾔語、性別、障害などあらゆる個性を持った⼈がいましたが、特に僕がサクラメントで感じた違いは学⽣の年齢の幅です。僕の仲のいい友達は27歳でしたし、同じクラスにはおじいさんもおばさんも出席していました。⽇本だと留年や浪⼈、社会⼈になってからの⼤学⼊学はネガティブに捉えられがちですが、そういった⾵潮は少なくともサクラメントにはなかったことが印象的でした。当の本⼈も気にする様⼦は全くなく、いつも勉強に熱⼼に取り組んでいたので、様々な考えや価値観を持つ学⽣が過ごしやすいのがサクラメントの特徴なのだと感じました。

アメリカでの⽣活は⽇々挑戦の繰り返しでした。初めの頃はクラスメイトに英語で話しかけるだけで緊張しましたし、授業での質問も的を射ているか⼼配でした。当然挑戦には失敗が付き物で、話がまとまらず冗⻑になり、⾃分の⾔いたいことが伝わらず悔しさを握りしめて諦めたこともありました。今でも鮮明に思い出せる失敗が、IPGE という国際交流課のような組織が主催する⾃分の国をアピールする場で、本来 30 分程度で終わらせるプレゼンを1時間もかけてしまったことです。⾃分⾃⾝の練習不⾜と、過不⾜のあるメモを⽤いたことで失敗してしまいました。とっさに英語を話しても、緊張のせいでうまく喋れず、とても恥ずかしい思いをしました。その悔しさから英語学習により⼒を⼊れて、⼈前で英語を話すときの注意点をまとめたりなどして、次に英語のプレゼンがあった時の対策を考えるよう努⼒したことを覚えています。この時はプレゼンをしたことを後悔しましたが、今振り返ると、⾃分で失敗した後どうしてダメだったかを考える機会が得られ、次に活かすことができるので、とてもいい経験だったと感じています。挑戦しなければ成功はおろか失敗もしないですからね。

後輩へのアドバイス、信州大学へのメッセージ等

留学に少しでも興味がある⼈はぜひ挑戦してみてください。「お⾦が⾜りない」「時間がもったいない」「成功できるかわからない」そんな不安や留学に対するネガティブな印象はなかなか払拭できないですが、実際に留学をしてみると考えは⼤きく変わります。お⾦の問題はトビタテの奨学⾦や JASSO の奨学⾦でなんとかなる場合が多いです。時間がもったいない、成功できるかわからないと思う⼈は、留学を精⼀杯頑張れば「時間をかけて成功させる」難しさや⾯⽩さに必ず気づくはずです。とにかく、今興味がある時点で諦めるのは勿体無いと思うので超短期留学からでも参加してみて、留学がどんな感じか実際に体験してみてください。失敗したとしても⼤丈夫です。経験になります。留学の都合で留年になり、卒業が⼀年遅れても問題ありません。それだけの経験を留学でするはずです。⾃分は⾃分で他⼈は他⼈、価値観が⼈によって違っても不思議ではありません。留学やもっと他の価値観を持った⼈達と関わればきっと、僕や他の留学⽣の経験談の意味がわかると思います。とはいえ、僕も留学をする前は何度も悩んで、留学をやめようと思っていた時期もありました。その度に相談をした先輩や友⼈、家族から励まされ背中を押してもらいました。学務係でお世話になった⽅々、学科の先⽣⽅にはとても感謝しています。さらには、貴重な奨学⾦を頂いた知の森基⾦にも⼤変感謝しています。たくさんの⼈のサポートと、僕の精⼀杯の努⼒で成り⽴った交換留学でした。こんな貴重な経験ができたことをとても誇りに思います。