Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

杉本 光

アメリカ

全てやり切った留学

杉本 光さん

人文学部 人文学科
留学期間:2022年8月~2023年5月
留学先:オクラホマ州立大学

留学先大学について

20231004_22exchange01_02.jpg私が留学したオクラホマ州立大学には大きく2つの特徴があります。

一つ目は「田舎に位置し、アメリカ文化を身近に感じやすい」点です。オクラホマ州立大学は「カレッジタウン」と呼ばれる「大学のために作られた町」に位置し、周囲は牧草地帯に囲まれています。この環境により、日本人比率が低く、ネイティブアメリカンやカウボーイの文化が色濃く残っています。またカレッジフットボールやカレッジバスケットボールなどのスポーツ、そしてカントリーミュージックなどの音楽も盛んで、アメリカならではの芸術にも触れることができます。さらに、オクラホマシティやタルサなどの都市部へのアクセスも容易で、アメリカ文化を存分に楽しむことができる場所だと言えます。

二つ目の特徴は、「留学生へのサポートが充実している」点です。オクラホマ州立大学では、留学生用の学生寮が設けられ、留学生全員がここで生活します。このため、他国からの留学生と交流する機会が多く、留学生向けのイベントも行われ、成長できる場が提供されています。また、留学生は専門にとらわれず、基本的に自分の興味に応じた授業を履修できるため、多彩な授業を受けることが可能です。

これらの特徴により私はオクラホマ州立大学でのびのびと、しかしやることはしっかりとやり切った留学を達成することができました。

学習面について

<達成したこと>

出発前から履修を予定していたスピーチコミュニケーションの授業や起業論の授業を受講するとともに、人類学や観光学など信州大学では学べないような科目にも挑戦しました。そしてそれらを含む全ての授業でA(秀)を獲得することができました。またこれらの授業では英語でのスピーチやグループワークを積極的に行い、そのすべてで90%以上の評価を得ることができました。

<印象に残った授業>

私が習得した科目の中で一番印象深いものはIntroduction to Anthropology (人類学)の授業です。この科目は授業を通して「ヒトとは何か?」という大きなテーマに、生物学・言語学・考古学・文化学の四つの観点から研究を進めるという特徴がありました。この授業においては「考古学と言語学を組み合わせて人間の扱う言語とそうでないものの境界を探るテーマ」や「言語と文化の関わりを調べるような文化学と言語学を組み合わせたテーマ」など四つの観点それぞれが密接に絡み合っているところが非常に興味深かったです。また生物学の一環として実際の骨や化石を触って分析したり、言語学の一環としてグループで言語の分類についてディスカッションしたりと、実践的なアクティビティが取り入れられている点も新鮮な経験となりました。

20231004_22exchangereport01_03.jpg<日本と異なる点>

アメリカの講義、実習の日本との大きな違いは、「学習に対する熱量」だと考えます。アメリカでは日本の大学とは異なり学生が楽しくかつ学習意欲を持って勉強に取り組んでいました。このような違いを引き起こす要因として私は、以下の3点を挙げることができます。それは評価制度・授業形式・講師です。

まず評価制度について、アメリカの大学ではあらかじめシラバスにおいてレポートやテストなどの課題の配点が「1000点満点中何点分の課題」といったように0.1%単位まで決められています。またレポートや創作物といった課題には先生から単語やスペルミスなどまで細かくフィードバックが得られます。これらの評価制度により、学生は「自分の成績は今どのくらいなのか」「次の課題でどこまであげればいいのか」といったことを把握できるだけでなく、課題に対する詳細なフィードバックに合わせて次の課題をより向上させることができる環境が整っています。

続いて授業形式について、日本では講義やゼミが一般的ですが、アメリカでは講義でもゼミのようなインタラクションが意識されているように感じました。例えば講義形式でも先生が学生に対しての問いかけが多く、学生もそれに対して反応することで授業が進んでいくことや、毎回の授業でグループディスカッションが開かれることがありました。こうした授業スタイルにより、学生は主体的に授業に参加することを促される環境が形成されていました。

最後に講師について、アメリカにおける教授は学生が楽しく学べることを重視しており、非常にフレンドリーな雰囲気でした。一つ目の評価制度の項目でも述べたように課題に対して丁寧にフィードバックするだけでなく、授業の始まりと終わりに「何か困ったことがあったらすぐ言ってください。必ず助けます。」などと学生を気遣う姿勢が目立ちました。特に私のように母語が英語ではない学生や授業についていけない学生でも、相談しながら勉強を進めていくことのできる環境が整っているように感じました。ただし、教育内容には適切な負荷がかかっており、無駄なストレスなく学習に集中できるように教師がバランスを保っている点が日本と比べてとても優れていると感じました。

これら三つの違いにより、学生たちは楽しく生き生きと授業に取り組んでいました。このような学習に対する熱量がアメリカの講義、実習の日本との大きな違いだと私は考えます。

生活について

<経験したこと>

20231004_22exchangereport01_04.jpg生活面についてこのレポートでは特に交友面、就職活動面、旅行面の三つに焦点を当てて報告します。

一つ目の交友面について、私は留学をとおして授業で出会った友達やイベントでの出会い、共同生活していた寮の仲間など様々な人々と親交を深めることができました。そのような友達と夜中まで語りあったり、実家に遊びに行かせてもらったり、一緒に1週間程度の旅行に行ったり、さらには家に2週間以上の長期滞在をさせてもらったりとより親密な関係を築くことができました。こうした交友関係の広がりを通じて、大学生として充実した時間を過ごすことができました。

二つ目の就職活動面については、私は交換留学中に交換留学生やバイリンガルを対象としたキャリアフォーラムに参加しました。そこでは他大学に留学中の学生や、グローバル企業の方々と交流し、企業の方からディナーに誘われたり内定をいただいたりする貴重な機会がありました。実際そうして出会った企業に入社しようと考えています。このイベントで経験したことは交換留学に行かなければ得られなかったものだと考えています。

20231004_22exchangereport01_05.jpg三つ目の旅行面については、私は交換留学中に6つの都市を訪れ、それぞれの州や都市の文化や環境を体験しました。これらの都市でしか味わえない地域特有の食べ物を楽しんだり、歴史を学べる博物館を訪れたりすることで、日本では得られないアメリカならではの経験をしました。特に印象的だったのは、寮の友達とアメリカンフットボールのプロリーグ「NFL」を見に行ったことです。もともとアメリカンフットボールは好きだったので、実際に会場で観戦できたのはかけがえのない体験でした。

以上のように、交友面・就職活動面・旅行面の3点が私が生活面の中でも特に印象に残っている経験です。

留学で得たこと

留学で得たことを特に「精神面・学習面・生活面」の三つに絞って報告します。まず、精神面では挑戦心とレジリエンスが高まりました。次に、学習面では専門的な英語学に対する興味が変化し、より自分の興味にあった卒業論文を設定することができました。最後に、生活面ではトレーニングの習慣が身につき、より健康的な生活を送ることができるようになりました。

精神面の変化については、留学を通して挑戦心とレジリエンスが高まりました。留学中は限られた時間の中で様々なことに挑戦し、イベントへの参加や射撃体験など普段では経験しないような活動に積極的に参加しました。これにより、帰国後も新しいことへのチャレンジに対する意欲が高まりました。また、言葉や文化の違いから生じる理解の難しさや思い通りに事が運ばない状況に直面することがありましたが、それらの状況を乗り越える経験を通じて、ストレス耐性が向上し、問題解決能力やレジリエンスが強化されました。

学習面においては、留学前には英語史や英語コミュニケーション学に興味がありましたが、実際に生きている英語が使われる環境に身を置くことで、俗語表現や社会言語学により興味を持つようになりました。特に"curse word"として知られる俗語表現に焦点を当て、卒業論文の執筆を進めています。留学により、英語学の新たな視点に気づくことができ、研究のテーマを変更するきっかけとなりました。

20231004_22exchangereport01_06.jpg生活面について、現地の大学ではintramuralという学内スポーツやジムでの運動が盛んに行われており、それに積極的に参加したことで生活習慣が改善されました。intramuralでは、ドイツ・アメリカ・カザフスタン・韓国・日本の五カ国で作る留学生チームを結成し、そのキャプテンとしてチームの活動を支えました。またジムにも毎日のように通うことで、アメリカにいながらも留学前よりも健康的な生活を送ることができました。

以上の精神面・学習面・生活面の三つが私が留学経験から得たものです。

後輩へのアドバイス

めちゃくちゃ楽しいので海外留学みんなも行きましょう。

留学最高!