教育基盤構築センター長 あいさつ

多様な学びを支援するシステム、人、組織への眼差し
西 一夫
教育基盤構築センター長
このたび教育基盤構築センター長を拝命しました、副学長(教育、附属学校担当)の西です。
私が専門とする研究領域は、一つは奈良時代から平安初期にかけての和歌や漢文書簡の表現分析にあり、いま一つは百年程前に中国の敦煌莫高窟で発見された「敦煌文書」に残る手紙の書き方本(書儀という)の形式や表現の分析研究と日本への受容実態の解明とにあります。
40年ほど前に研究課題への見通しを持った頃、デジタル機器との交渉は全く感じられない世界でした。眼前には紙焼き資料や冊子の目録、冊子の索引を駆使しながら表現の用例をひとつひとつ集め、その傾向を分析する作業の毎日でした。加えて考古学の出土物に残る文字資料も取り込んで研究領域の拡充をしてきました。これまたかつての奈良国立文化財研究所が刊行する出土物速報なる資料を手元に置くことが大切な作業の始まりでした。これらの資料群や作業は、現在デジタル機器を活用したデータベースの整備や検索サイトの充実、さらには世界各地に散在する貴重な文献を高画質のデジタル画像としてほぼ無料で閲覧が可能になりました。
時代の変化は日夜を問わず加速しています。このように感じるのは単に私が心身の老いを感じているからだけではなく、加速度的に上昇し続けている現実があることも要因なのでしょう。まさに「文明の利器」と称し得る発展を遂げています。多くの時間を要した調べる時間は、必要と考えられる情報をキーボードで打ち込んでキーを押せば、厖大な検索結果を瞬時に入手できます。それを生成AIに読み込ませれば、おおよその考察まで仕上げてくれるのです。「文明の利器」を使いこなしているように見えながら、我々は使われてもいない、考察もしないという状況なのではないでしょうか。
閑話休題。本学のe-Learningシステム「eALPS」は「たこ足キャンパス」である本学学生の学修活動を支援しています。私も現在共通教育科目として「古典文学の恋愛裏事情」というOnline授業を開講しています。かつては対面による授業を基本として、紙資料を用いる授業デザインをしてきました。現在では各授業回で取り上げる古典作品に関する動画資料や映像資料を用いることで視覚的にも古典の世界に導くことができるようになりました。また和歌の披講の音声資料も掲載することで和歌が詠まれる実際を、音声資料を通して体感することができるようになりました。
学生との交流も取りこぼしを防ぐことができるようになりました。振り返りの提出やレポートの作成・提出も全てシステム上で行っています。これらを活用することで振り返りやレポートに対するコメントと提出物とが手元に残る利点があります。これまでは返却してしまえば、学生の学びの変容や定着がしっかりと捉えることができませんでしたが、双方にデータが残ることで学生の学びを的確に把握することができます。これまでは点数に変換された評価値のみで最終評価をしてきましたが、半期の授業を通して学生の学びを具体物による変容・定着によって評価が可能となりました。
eALPSにはさまざまな機能が搭載されており、遠隔キャンパスを繋いだシステムとして、教育活動の基盤を支えています。システムにエラーが生じることもあります。日々のメンテナンスに担当者は従事していますので、そうした学修を支える教職員への眼差しも忘れずに持ち続けてください。
2026年7月