eLセンター案内

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色々な学びを通じ「人間力」を考える

安田 弘法
e-Learningセンター長

 

 10月からe-Learningセンター長を拝命しました。ここでは、「Learning:学びや学問」を通じて考えた「人間力(自立した一人の人間として力強く生きるための力)」について記します。長い人生では、色々な学びがあります。小学校から高等学校までの知識や技術の基礎的な学びから大学での高度な学び、さらに研究を通じた未知なる現象解明の学び等々。このような学校での学びも必要ですが、出会いを通じた人からの学びも二度ない人生に大きな影響を与える学びとして重要でしょう。

 私は70年の人生で多くの人から色々と学び、今の自分があります。そのような人に京セラの創業者、稲盛和夫さんがいます。稲盛さんは、51歳で盛和塾を創設され、塾長として中小企業の経営者に経営や「人間力」について教授されました。私は、稲盛さんの数多くの著書を読み、その生き方に感銘を受け、約25年前に「盛和塾庄内」が創設されるとすぐに塾生として、塾長や塾生から「人間力」を学びました。

 塾長は、受験秀才ではなく、中学校や高校及び大学受験に失敗した挫折の経験者。さらに大学を卒業して入社した企業も赤字経営で、27歳の時、会社の仲間7人と京セラを設立。さらに55歳の時、数多くの苦労の末に第二電電(KDDI)を創設し、78歳でJALを再生。また52歳の時に私財を投じ「稲盛財団」を設立し、優れた研究者を「京都賞」として顕彰。「動機善なりや、私心なかりしや」、「世のため人のために」を判断基準の一つとして生き切った人生。

 「稲盛語録」を紹介します。「利他の心を持つ」。「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」。「人間性が大事。人間性は顔に出る」。「人生は「運命」という縦糸と「因果の法則」という横糸により織りなされている。善きことを思い、善きことを行えば、人生は好転する」。「成功しても謙虚な人だけが幸運を長続きさせることができる」。「時代がどのように変わろうとも、一所懸命に努力するのが一番」。「人格を高めていこう、自分の心、魂を立派なものにしていこうと、繰り返し、繰り返し努力をする。その行為そのものが尊いのです」。何度読み返しても心に響く「教え」です。今までも、今も、これからも人からの学びも重要に思います。

 私の人生の師に東洋哲学の泰斗、安岡正篤先生がいます。先生は、「学問」とその意義を「人間は逆境・難境に遭遇すると、如何に学問が大切であるかという事がわかります。真の学問をやっておれば、しみじみ問題を考えることができる。考えることができれば、自ずからそこに光も差す、期待もわく、又楽しみも生じてくるものです。だから人間はやはり学問をしなければいけません。と言っても形式的な、功利的な、世俗の学問では駄目でありまして、老荘や禅で言うところの絶学の学、良知の学、正学を学ばなければいけない。またそういうところにわれわれの学道、講学の一つの妙味があるわけです」と述べています。「真の学問」を通じた「人間力」の学び、重要に思います。

 我が人生を今振り返ると、学びの中では、「人間力」と「専門力」の学びが不可欠と感じます。社会人になり仕事に従事すると「専門力」の学びは、必要ですが、多忙な日々に「人間力」の学びを継続するのは、難しいことです。しかし、この「人間力」の学びは、二度ない人生を生きる上で重要であり、複雑な人間関係が錯綜する社会を生き抜くには必要に思います。学生の皆さんが、e-Learning、書物、出会いを通じ「学問」の本質を学び、「信大コンピテンシー」の「豊かな未来を切り拓く力」である「人間力」について考え続けていただければ嬉しく思います。

2024年11

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