信州多聞塾 | JST次世代研究者挑戦的研究プログラム 信州大学次世代高度人材「地域発志士」育成プログラム

次世代高度人材『地域発志士』
育成プログラムとは

信州大学では、優秀な博士学生に対して、キャリアパスの形成ができる教育と、研究に専念・挑戦できるための経済的支援を行う「次世代高度人材『地域発志士』育成プログラム」を実施します。
※JST「次世代研究者挑戦的研究プログラム」採択・支援事業です。

地域実装プロジェクト 未来の世界展開を見据えた
博士人材による地域課題解決

目的及び内容(プロジェクトの目的:理想とする人材像)

資源が乏しい我が国の未来のためには、科学技術によるイノベーションを世界に先駆けて絶え間なく創出する必要がある。 そのために必要となる人材は、叡智を集約し、社会全体を俯瞰視して「未来」を予測し、起こりうる課題を発見し、 それを予防・解决する方法論を見出し実行する先見的な人材こそが必要であり、そのような人材を本プロジェクトの理想とする。

現代社会では基礎研究が細分化・複雑化し、以前にも増して成果が「点」になりやすい土壌が生まれつつある。同時に国際化に伴う価値観 や市場の変化、コロナ禍のような世界的危機の短期間での伝播など、産業界・経済界・医学界からの要請が著しいスピードで変化するように なっている。このような中で、基礎研究の成果を効果的に連結し科学技術に昇華させるためには、様々な専門性からの視点で研究成果と未 来予想を結んで線にし、それらを社会に即座に適合する「発想の瞬発力」が必要である。それゆえに好奇心に基づいた知的探求を重視する学 生に対し、社会全体を俯瞰視し未来の課題を発見する術を潜在的能力として身に付けさせ、現代社会に求められるイノベーションを担う人材 を輩出したい。

キャリア開発・育成コンテンツ

「信州多門塾」では、下記の基幹プログラムを共通または個別で提供する。

  • ネットワーク・人間力・英語コミュニケーション力

    分野を超えた学生間交流

    塾生全員が集まり、研究者を目指す動機、将来のキャリア設計、研究での行き詰まりへの対処法、ライフイベントへの不安など、博士後期課程学生が抱える不安や希望を同志として共有する。
    これとともに卓越研究者や起業家を講師として招聘し、研究や事業に対する考え方を学び、講師とともに議論を行う。

    加えて経済・経営学などの社会科学やデザイン学を専門とする卓越講師を招聘し、未来の課題解決型研究に繋がる思考トレーニングの時間を設ける。

  • キャリア開発

    地域実装プロジェクト

    地域課題に対する解決法を異分野の学生グループで発案し、プロジェクトとして支援する。

  • 研究力

    レジェンド研究者によるメンタリング
    国際共同研究・ベンチャーインターンシップ

    CDS型の塾生には、新たな研究手法の融合や異分野との共同のため海外連携協定校との国際共同研究に対し支援を行う。

    FTS型の塾生には、経営やマネージメントを実感して体験できるベンチャー企業でのインターンシップへの支援を実施する。

  • 国際性・プレゼンスキル

    徹底した英語writing & presentation コース
    国際共同研究・ベンチャーインターンシップ

    ウェブ会議システムを用いアメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・アジアの連携大学を結び、テーマを決め、博士後期課程学生間のディベートを実施する。

    特に、英語学術論文に独特な論理的構成を効率よく学習するために、学生が執筆した投稿前論文を受講者全員で共有し、リアルタイムでの添削指導講義を受講できるシステムを構築する。
    これらの活動とともに、国際会議での口頭発表や論文執筆の英文添削支援を実施する。

  • 博士後期課程所属前後の支援

    学内研究員制度
    准塾生

    自らの研究を基盤とした起業環境と優秀な博士学位取得者が研究活動を継続できる学内研究員制度を整備する。

    また博士後期課程進学希望学生を「准塾生」としてプログラムへの参加を可能とし、志の継承を行う。

「信州多聞塾」の様子

第4回「信州多聞塾」を開催しました

プログラム生が研究分野を超えて交流し、自身のキャリアパスの考えを深化する行事です。

  • 日程

    2023年9月21日(木)~23日(土)
    長野県飯山市(飯山市戸狩農林漁業体験実習館、飯山市文化交流館ほか)

  • 参加者

    ・信州多聞塾生、教職員
    ・招聘講師:地域課題に取り組む実践家3名
     出澤俊明(一社)未来社会推進機構 副理事長、大宮みぎわ看護師、木原翼 木原農園代表

  • プログラム内容

    ・第4回のテーマ:「未来を見据えた地域課題解決」
    プログラムでは、「未来の世界展開を見据えた博士人材による地域課題解決」を掲げ、「信州多聞塾」による「地域発志士」の育成を謳っています。この地域課題を認識できる現場として、今回の信州多聞塾は長野県飯山市を会場・フィールドとして設定しました。飯山市を訪れ、地域課題に取り組む実践者との対話や現場体験等を通して、グループワークによる課題解決を検討し、それを取りまとめて発表しました。

  • プログラムレポート

    9月21日から23日の3日間、県内の各キャンパスからプログラム生が飯山市に集い、テーマ「未来を見据えた地域課題解決」により、地域課題を実践的に考えるプログラムに取り組みました。二泊三日の合宿形式によりグループワーク、フィールドワークを実施。地域の実践家が設定した3つの課題:①移住・定住(出澤講師)、②地域医療・健康(大宮講師)、③農業・地域リソース(木原講師)に対し、それぞれ2グループが挑戦。課題について仲間とともに考え抜き、最終日にプレゼンを行いました。
    学生からは、「地域・社会の課題はいろいろな要因が連動していることがわかり、広い視点で物事を考える必要があることを認識した」等の感想がありました。このことは自身の研究を行ううえでも必要であること、またキャリアを考える際にも繋がるものと思います。

    • 1.導入

      吉武塾頭から、信州多聞塾の意義と博士学生のキャリアパスについて言及した挨拶がありました。新井幹事から今回の信州多聞塾の趣旨について説明があり、学生交流と地域課題解決のねらいを認識しました。また川地特任准教授によるアイスブレイクでは紙コップタワー競争も行われ、対面するのが初めての学生も一気に打ち解けました。

    • 2.グループワーク

      飯山市において課題解決に取り組んでいる実践家講師3氏による講演がありました。それを踏まえ、各グループによる討論と課題解決プランを作成。専攻、キャンパス、研究分野、国籍が異なる学生がお互いに議論することで「仲間」となる交流ができました。宿舎でもグループメンバーのディスカッションは深夜まで続き、2日目から3日目には発表に向けて徹夜で作業をした学生もいるなど、熱意を持って取り組みました。

    • 3.フィールドワーク

      2日目には、地域課題の現場を視察するフィールドワークを行いました。「移住・定住」に取り組むグループは古民家を視察、「地域医療・健康」のグループは高原で自然を活用したリトリートを体験、「農業・地域リソース」のグループは木原農園において農業経営の実際と観光資源について考えるワークを実施。自分の目で現場を確かめ、課題への理解を深めました。

    • 4.成果発表

      最終日はグループワークの成果発表として、6グループがそれぞれ独創的な課題解決プランを提案。講師の方によるコメント、学生による質疑応答が活発に行われました。
      限られた期間の中で、非常にレベルの高い提案にまとめ上げたところに、博士学生ならではのプレゼン能力、課題解決能力を伺うことができました。学生・教員も加わった活発なディスカッションが行われ、講師の方からの講評では高い評価をいただきました。

      各課題のグループ名とプレゼンテーマ

      【移住・定住】
      ・飯山守り隊「飯山まもりたい!」
      ・IoT(I=移住、T=定住)「飯山に住むしない?~アプリを駆使してスマート移住・定住~」

      【地域医療・健康】
      ・飯山カンゲイ社「発見!飯山の力」
      ・ゆきおろし「養生園 リトリートを通して考える未病予防と地域(飯山市)の発展」

      【農業・地域リソース】
      ・信大トラベル「そのまま飯山に住んじゃいませんか?プラン」
      ・飯山観光振興隊「マイ飯山アドベンチャー」

      閉会式では、森川事業統括によるプログラム生への期待のメッセージが送られるとともに、9月でプログラムを終了する修了生への修了証の授与があり、学生からは支援に対する謝辞がありました。

      3日間の「信州多聞塾」に参加したプログラム生にとって、専門分野以外にも視野を広げたこと、地域課題の実感とその解決方法を考えたこと、分野・キャンパスを超えた同志ができたことが、大きな成果となりました。

サポート体制および支援計画

信州多聞塾 企画・運営委員会

  • 森川 英明 教授

    事業統括 森川 英明

  • 博士後期課程学生の育成像

    • 強い知的好奇⼼
    • 自らの力で社会を変革して行こうとする
      熱意・実行力
    • Transferable Skills
    • Thinking, Discussionの場
    • 高い国際性
  • 人材育成

    • 21世紀COE
      「先進ファイバー工学研究教育拠点」
    • グローバルCOEプログラム
      「国際ファイバー工学教育研究拠点」
    • 博士課程教育リーディングプログラム
      「ファイバールネッサンスを先導する
      グローバルリーダーの養成」