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新井亮一准教授ら、新規人工酵素Syn-F4鉄エンテロバクチンエステラーゼの立体構造を解明
2023.09.19
信州大学繊維学部・バイオメディカル研究所の新井亮一准教授、信州大学大学院総合理工学研究科繊維学専攻修了生の栗原航大さん、信州大学農学部・バイオメディカル研究所の梅澤公二助教、米国プリンストン大学のMichael Hecht教授らの国際共同研究グループは、細胞内で鉄の取り込みの際に機能する新規人工酵素Syn-F4鉄エンテロバクチンエステラーゼの詳細な立体構造をX線結晶構造解析により解明することに成功しました。Syn-F4は、2本の長いαヘリックスが2組合わさった4本ヘリックスバンドル二量体構造を形成し、中央部分に特徴的な穴が貫通しており、天然の酵素とは全く異なる立体構造であることが明らかになりました。また、反応機構も天然の酵素と大きく異なっており、Syn-F4が、天然の酵素と異なる機構で生命活動維持に必要な酵素として細胞内で機能することを示しました。今後、人工タンパク質や人工酵素の可能性を拡張し、タンパク質工学や合成生物学分野の発展や応用につながることが期待されます。本研究成果は米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America) 9月19日発行号への掲載に先立ち、同誌Webサイトにてオンライン版が9月11日に公開されました。
なお、
詳細はプレスリリースをご覧ください。
(論文情報)
タイトル: Crystal structure and activity of a de novo enzyme, ferric enterobactin esterase Syn-F4
タイトル和訳:新規人工酵素Syn-F4鉄エンテロバクチンエステラーゼの結晶構造と活性
著者:栗原 航大1, 梅澤 公二2,3, Ann E. Donnelly4, Brendan Sperling4, Guanyu Liao4, Michael H. Hecht4*, 新井 亮一1,2*(*責任著者)
1信州大学 繊維学部 応用生物科学科
2信州大学 先鋭領域融合研究群 バイオメディカル研究所 生体分子ノベーション部門
3信州大学 農学部 農学生命科学科
4 Princeton University, Department of Chemistry
掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
DOI: 10.1073/pnas.2218281120
URL:https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2218281120