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お知らせ

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2023年繊維学会年次大会で学生3名が受賞しました

2023.07.06


6月14日(水)~16日(金)にタワーホール船堀で開催された2023年繊維学会年次大会において、大学院総合医理工学研究科 総合理工学専攻 博士課程1年(髙坂 泰弘 研究室)・日本学術振興会特別研究員(DC-1)の千葉 耀太さんが優秀口頭発表賞を、大学院総合理工学研究科 繊維学専攻修士課程1年の間 美羽さん(大越 豊 研究室)と竹内 真凜さん(髙坂 泰弘研究室)が優秀ポスター発表賞をそれぞれ受賞しました。
優秀口頭発表賞は、「年次大会において優秀な口頭発表を行った者(年次大会開催年4月1日現在で40歳未満の正会員および学生会員(学生会員は博士後期課程に在籍))」へ授与され、優秀ポスター発表賞は「年次大会において優秀なポスター発表を行った者(年次大会開催年4月1日現在で博士号を持たない36歳未満の正会員および学生会員)」に授与されます。
受賞題目等は以下のとおりです。



【優秀口頭発表賞】

千葉 耀太さん
受賞題目: ケミカルリサイクル可能なポリ(スチレン誘導体)の開発 ー高速分解と物性制御を実現するモノマー設計ー


研究概要:ケミカルリサイクルは、高分子をモノマーやその原料に分解し、改めてポリマーを再合成する資源循環方法です。ケミカルリサイクルでは、劣化した樹脂や、添加剤を混合した樹脂からも高品質な樹脂を再生でき、理想的な資源循環が実現します。しかしながら、付加重合で合成されるビニルポリマーは、合成が容易な反面、分解やケミカルリサイクルが難しい存在です。発表者らはこれまで(※)、環状スチレン誘導体を原料とするビニルポリマーを合成し、アルカリ処理によってモノマー原料が再生されることを見出していました。今回、様々な実験を通してポリマーの分解メカニズムを検証しました。そして、分解速度を速めながら、ポリマーの溶解性を改善する分子設計を提案するとともに、複数原料からなる共重合体から、同一原料を再生することにも成功しました。
(※これまでの研究成果はこちらをご覧ください。
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/news/2021/07/157294.html)


千葉さんのコメント:この度、繊維学会年次大会にて優秀口頭発表賞を頂戴しました。栄誉ある賞を賜り、大変嬉しく思います。ビニルポリマーは大量生産可能なプラスチックである反面、化石資源を原料とするため、持続可能性の確保が課題です。私はこれを解決するため、簡単な化学処理によって原料へ分解するビニルポリマーの開発に取り組んできました。今回は、それらの知見を集約し、資源循環可能なビニルポリマーを設計するための指針について提案を行いました。この成果をさらに磨き、循環型社会の実現へ役立てられるよう、今後も精進していきます。


【優秀ポスター発表賞】

間 美羽さん
受賞題目: 再生ポリプロピレン(PP)/バージンPP系ブレンド繊維の熱物性


研究概要:近年、環境問題が取り沙汰される中、プラスチックのリサイクル利用が求められています。しかし、樹脂を溶融リサイクルすると、一般に機械的物性に加え、融点の低下、熱寸法安定性の悪化などの熱物性も低下することが知られています。そこで、リサイクルした樹脂にバージン樹脂を添加することで機械的物性に加え、熱物性の改善がどのようなメカニズムで発現するのかについて調査をしてきました。今回の発表では、リサイクルPP繊維としての用途展開のため、このブレンド繊維の熱物性について調査しました。どの程度のバージンPPを添加することで物性の改善が見込めるかが分かればリサイクルの促進に貢献できると考えております。


間さんのコメント:この度は、優秀ポスター発表賞に選出していただき、とても光栄に思います。日々ご指導頂いている先生方、研究室の皆様、この研究に関わる全ての方々のお陰です。今回のポスター発表では、大変多くの方々からご意見を賜ることができ、勉強になりました。本研究では、再生樹脂を用いて繊維を作製し、その物性や構造について調査しております。本研究が環境負荷の低減や再生樹脂の活用に少しでも貢献できればと考えております。


竹内 真凜さん
受賞題目: アゾベンゼン骨格を主鎖に有するポリウレタンの合成と物性


研究概要:ウレタン系接着剤は、強靱性と柔軟性に優れた接着剤です。通常は接着面にポリウレタンの原料物質を塗布し、その場でポリウレタンを合成して接着します。一方、本研究では予め構造や物性を制御したポリウレタンを合成し、接着時に被着面に塗布して使用するウレタン系接着剤の開発を目指しました。塗工のために、ポリウレタンを一時的に柔らかくする目的で、光に応答するアゾベンゼン骨格をポリウレタンに導入しました。すると、光照射時に柔らかくなる光可塑化現象が確認され、ポリウレタンを室温で塗工し、ガラス板を接着することに成功しました。本研究は、信川省吾先生(名古屋工業大学)の研究グループとの共同研究です。


竹内さんのコメント:この度は、繊維学会年次大会において優秀ポスター発表賞という栄誉ある賞をいただき大変嬉しく思います。日々ご指導いただいている先生方をはじめ、共同研究者の皆様、研究室の皆様のおかげであると実感しております。心より感謝申し上げます。研究を続けることは楽しいことばかりではありませんでしたが、皆様の支えがあり続けられました。目標となる、尊敬できる方々と共に研究できる日々はとても充実しており貴重な経験であると思っております。今回の受賞を励みに、今後もより一層精進していきたいと思います。

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