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応用生物科学科 高島 誠司 助教ら 精子幹細胞の増殖促進因子"FGF2"の機能を解明
2018.04.20
応用生物科学科 高島 誠司 助教らのグループは、精子幹細胞の増殖促進因子"FGF2"の機能を明らかにしました (プレスリリース資料)。精子の元となる未分化型精原細胞 (精子幹細胞) の生存・増殖はグリア細胞株由来神経栄養因子 (GDNF) が、そして精子への分化はレチノイン酸 (RA) が担っています。高島助教は、2015年に線維芽細胞増殖因子2 (FGF2) も精子幹細胞の増殖を促進することを見い出し、今回さらに、ゼラチンを原料としたマイクロ粒子で精巣内に存在する精子幹細胞を直接刺激することにより、「FGF2によって増加した未分化型精原細胞は分化誘導を受けやすいこと」、「FGF2は精巣体細胞によるRAの代謝 (分解) を抑制し、分化促進に働くこと」を発見しました。試験管内で精子幹細胞を増殖させるFGF2が、生体内では逆に精子幹細胞を分化させるという逆の働きを持つことを示したのです。この成果は、精子幹細胞が精子を生み出す原理の理解だけでなく、男性不妊症の原因解明やその治療法の開発にもつながります。この成果を取りまとめた論文はStem Cell Reports誌6月号に掲載予定です (4月20日オンライン先行公開)。
FGF2で刺激したマウス精巣内の未分化型精原細胞 (精子幹細胞) [写真右]。もう一つの増殖因子GDNFで刺激した場合 [写真左] と比較し、細胞コロニーの形が異なる (黄色矢印は増殖した精子幹細胞で、水色に染まっているのは細胞膜)。FGF2で刺激された精子幹細胞は、より分化誘導を受けやすい。