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2024年度 春・タイ 「カオスでエキゾチックなバンコクでの日々」(臨床実習)

氏名:松永 伊代
派遣先:マヒドン大学 ラマティボディ病院
期間:2025年3月~5月

留学先大学について:
タイの医学・医療の発展に大きく寄与したソンクラーナカリン王子の功績 を称え、タイで初めて設立された医科大学(1943 年創立)に1963年、同王子の幼名である「マヒドン」の名が冠されました。マヒドン大学は現在では 16 学部、9つの研究所、5つ のカレッジ、5つのセンターを有する総合大学へと発展し、2015 年にはイギリスの大学評価機関クアクアレリ・シモンズによる世界の大学ランキングで、医学分野で世界のトップ 100 の大学に選ばれました。国内では「タイの東大」といわれるチュラロンコーン大学医学部と並び、タイ医学界の最高学府とされています。そのマヒドン大学に付属するラマティボディ病院で2か月間実習をしました。

学習面について:
Community medicine, Oncology, Emergency medicine, Family medicineの4つのdepartmentで2週間ずつ実習をしました。外来・病棟・ERの見学をしたり、カンファレンスや勉強会に参加したりしました。医師と患者さんとのやり取りはもちろん、医師同士の会話もすべてタイ語であるため、そのままでは一体何が行われているのか全くわかりません。適宜医師やレジデントに英訳をお願いしましたが、話すスピードが速くタイ独特のアクセントがあり聞き取りが困難なことも多々ありました。それでも何度も聞き直したりスペルを紙に書いてもらったりしながら、何とか聞き取れた単語をもとにして推測し、貪欲に情報を搾り取っていました。病院内にとどまらず訪問診療やrural areaにあるcommunity hospitalに連れて行っていただけたのはとても良い経験でした。

生活について:
病院の敷地内にある寮で生活していました。寮費は無料で日本人同士での3人部屋でした。シャワーは基本水しか出ませんが、ある1つの部屋にだけ温水シャワーがあるので途中からそれを使っていました。寮にキッチンは無いので毎日外食になりますが近くにコンビニがあり、敷地内には食堂・カフェテリアの他、朝~昼にかけてさまざまな屋台が開店するので食べるものには困りません。人口に対して明らかに多いと思うぐらいバンコクには沢山の食べ物屋があるので実習後や週末に巡るのも楽しいと思います。タクシーが便利で日本に比べたら安いのですが節約のために電車+徒歩で移動していました。歩くことで病院内の実習だけでは味わうことのできない、ごみごみした街の様子や日本とは異なる空気感、貧富の格差を体感できました。

留学で得たこと:
タイでも日本と同様の医療、つまり世界的に標準化された医療が行われていました。将来海外で働くつもりはないから英語はできなくてもいいと思っていましたが、次々と医学的知見が更新される中で世界に目を向けていないと時代遅れの医療となってしまいます。日本で医師をするにしても最新のエビデンスに基づく医療を実践するには英語が必須のツールであることがわかりました。
タイにも国民皆保険のような制度がありますが、不十分であり貧富の格差が受けられる医療サービスにも影響していました。日本の社会保障制度には賛否の声がありますが世界的に見れば恵まれた環境なのかなと感じました。

後輩へのアドバイス、奨学金システムへ一言:
長野県内で実習した方がいいのではないかと留学の申し込み直前まで悩んでいましたが、結果的に留学して良かったと思います。確かに医学的なことは県内実習の方が勉強になりますが留学ではそれ以外に得られるものが多いです。そして何より手厚いサポートの元で長期間海外に行けるチャンスは今しかないと思います。海外渡航は初めてで、speakingのスコアも基準ギリギリの英語力でしたが2か月間楽しく過ごせましたし、適応能力も身に付きました。
ワクチン代や飛行機代など留学には費用がかかりますがJASSO奨学金をもらえたことで経済的負担がだいぶ軽くなりました。田中教授をはじめとする国際交流推進室の方々、学務第一係、受け入れ先のスタッフ・先生方には大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。

  • 混雑するcommunity hospitalの外来
    混雑するcommunity hospitalの外来
  • 多職種チームで行く訪問診療
    多職種チームで行く訪問診療
  • 一部は近代化している
    一部は近代化している
  • 街を歩けば路上生活者も多い
    街を歩けば路上生活者も多い
  • タイならではの移動式販売 煙がもうもうとしている
    タイならではの移動式販売 煙がもうもうとしている
 
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