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医学生・研修医の方へ

医学生・研修医の方へ

脳神経外科というと、顕微鏡を使った細かい手術が得意じゃなきゃだめだろうとか、夜も呼ばれて脳卒中の患者さんを診るのでちょっと大変かな、などと思ってはいませんか?・・・実はその通りです。でも、どの科に行っても最初は大変なのです。私達は脳に魅せられてこの世界に入ってしまいました。脳や神経という非常に神秘的な部分を直接見て触れる、いわば神の領域でありそれを職業にすることの満足感は簡単には言い表せません。確かに顕微鏡手術も最初は誰でも難しいものです。だから一人前になるのには少し時間がかかります。でも、簡単に一人前になってしまうのも逆に興ざめしませんか?
脳外科医という何となくかっこいい響きのある言葉と、救急医療に直結したやりがいのある仕事に少しでも興味があれば、是非一緒にやりましょう。

脳神経外科の研修

医学生の方へ脳神経外科の世界を体感しませんか?

脳神経外科学教室では、医学生の皆さん向けに医学生の病院見学・研修を受け入れております。休みの期間を利用して臨床体験をしてみませんか?

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研修プログラムのご案内

研修医向け初期研修プログラムのご案内

本研修プログラムは、卒後臨床研修プログラム選択研修の脳神経外科カリキュラム(3ヶ月)です。本プログラムは、1週間のオリエンテーションの後、脳神経外科の基本的な知識と技術を研修し、また、救急患者の的確な病態把握と初期治療を研修します。研修終了時に脳血管障害、頭部外傷および脳腫瘍疾患を鑑別診断し、適切な初期治療を行うことを目標とします。
また、卒後臨床研修終了後、脳神経外科専門医を目指す医師は、当科の脳神経外科研修プログラム(4年間)の研修を行うことで、専門医受験資格を得ることができます。研修医時に日本脳神経外科学会に所属していなくても、3年目から入会すれば卒後7年目に受験できます。

卒後臨床研修センターのサイトはこちら

Ⅰ 一般目標(GIO:General Instructional Objectives)

1.脳血管障害、頭部外傷および脳腫瘍の救急医療を研修する

脳血管障害および頭部外傷疾患に関して、的確に鑑別診断し、初期治療を行うための研修を行う。また、緊急を要する重症例に対しては初期救急治療ができるように研修を行う(BLS/ACLSを含む)。症例があれば、脊髄血管障害および脊髄外傷においても研修を行う。

2.意識障害患者の救急医療を研修する

1と同様に、意識障害に関して的確に鑑別診断し、初期治療を行うための研修を行う。

3.脳血管障害、頭部外傷および脳腫瘍患者のプライマリケアを研修する
4.脳血管障害、頭部外傷および脳腫瘍疾患に対する治療に必要な基本的知識の習得を研修する

Ⅱ 行動目標(SBO:Specific Behavior Objectives)

1.経験すべき診察法・検査・手技
基本的脳神経外科診療能力
  • ①問診および病歴の記載
    患者との間に良いコミュニケーションを保って問診を行い,総合的かつ全人的に patient profile をとらえることができるようになる。病歴の記載は問題解決志向型病歴(POMR: Problem Oriented Medical Record)を作るように工夫する。
    • ア)主訴
    • イ)現病歴
    • ウ)既往歴
    • エ)家族歴
  • ② 脳神経外科診察法
    脳神経外科診療に必要な基本的態度、技能を身につける。
    • ア)バイタルサイン
    • イ)意識状態の把握
    • ウ)頭頸部の診察
    • エ)神経学的検査
基本的脳神経外科臨床検査

脳神経外科診療に必要な種々の検査を実施あるいは依頼し,結果を評価して患者・家族にわかりやすく説明することができる。それぞれの病態で禁忌である検査法,避けた方が望ましい検査法があることを十分に理解する。

  • ① 髄液検査
  • ② 神経放射線学的検査
    • ア)単純X線検査 (a)
    • イ) X線CT検査 (a)
    • ウ)MRI検査
    • エ)脳血管造影検査
    • オ)神経生理学的検査
    (a):自ら実施し、結果を解釈できる。 (a)以外:検査の適応が判断でき、結果の解釈ができる
基本的治療法
  • ①処方箋の発行
    • ア) 薬剤の選択と薬用量
    • イ) 投与上の安全性
  • ② 注射の施行
    皮内,皮下,筋肉,静脈,中心静脈
  • ③ 副作用の評価ならびに対応
  • ④ 療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む)
  • ⑤ 基本的手技
    気道確保、人工呼吸、心マッサージ、ドレーン・チューブ類の管理、創部消毒とガーゼ交換、皮膚縫合などが実施できる。
2.経験すべき症状・病態・疾患
頻度の高い症状
  • ① 頭痛*
  • ② めまい*
  • ③ 四肢のしびれ*
  • ④ 歩行障害
  • ⑤ 痙攣発作

*自ら症例を経験,すなわち診察し鑑別診断してレポートを提出する。

緊急を要する症状・病態
  • ① 意識障害**
  • ② 脳血管障害**
  • ③ 外傷**

**自ら経験,すなわち初期診療に参加すること。

C) 経験が求められる疾患・病態(理解しなければならない基本的知識を含む)

  • ① 脳・脊髄血管障害
  • ② 頭部・脊髄外傷
  • ③ 痴呆性疾患
  • ④ 変性疾患
  • ⑤ 脳炎・髄膜炎
3.脳神経外科研修項目(SBOのBの項目)の経験優先順位
脳神経外科研修3ヶ月において
  • ① 経験優先順位第1位(最優先)項目
    • ア)脳血管障害の検査・診断、初期治療の管理
    • イ)頭部外傷の検査・診断、初期治療の管理
    • ウ)脳腫瘍の検査・診断、初期治療の管理
    →外来診療もしくは受け持ち医として合計10例以上を経験し,うち1例についてレポートを提出する。
    →必要な検査(神経放射線学的検査)についてはできるだけ自ら実施し診療に活用する。
  • ② 経験優先順位第2位項目
    • ア) 脊髄血管障害の検査・診断、治療計画の立案
    • イ) 脊髄外傷の検査・診断、治療計画の立案
    → 受け持ち患者として症例があれば積極的に経験する。
  • ③ 経験優先順位第3位項目
    • ア) 痴呆性疾患の検査・診断
    • イ) 変性疾患の検査・診断
    • ウ) 脳炎・髄膜炎の検査・診断
    → 機会があれば積極的に初期診療に参加し,できるだけレポートにまとめる。

Ⅲ 指導医条件(研修医に対する研修・カリキュラムの質の保証を明示します。)

  • 1)指導医資格
    10年以上の脳神経外科臨床経験を有する、日本脳神経外科学会認定専門医であること。
  • 2)指導施設資格
    上記の資格を見たす指導医が2人以上勤務し,うち1名は15年以上の臨床経験があること。
  • 3) 指導医1人に対する研修医数
    原則として1人までとする。

研修スケジュール

  午前 午後
  • 術前カンファレンス
  • 手術
  • 手術
 
  • 教授回診
  • 血管内手術
  • 脳血管撮影
  • 放射線読影
  • 治療検討会(隔週)
  • 術前カンファレンス
  • 手術
  • 手術
 
  • 抄読会
  • 血管内手術
  • カンファレンス
  • 教授回診
  • 術前カンファレンス
  • 外来カンファレンス
  • 抄読会
  • 手術
  • 手術
 

※研修方法・指導体制

  • 日常の指導には4年目以上の医師があたり、指導評価は助教以上の指導医があたります。
  • 重傷緊急入院患者の対処一般およびこれらの患者の治療を習得するために当直研修を実施します。月4回程度の予定です。
  • 脳神経外科一般病院の当直助手の研修も可能です。

脳神経外科専門医を目指す研修医向け後期研修プログラムのご案内

卒後臨床研修終了後、脳神経外科専門医を目指す医師は、当科の脳神経外科研修プログラム(4年間)の研修を行うことで、専門医受験資格を得ることができます。研修医時に日本脳神経外科学会に所属していなくても3年目から入会すれば卒後7年目に受験できます。この4年間に大学病院と関連施設での研修をそれぞれ2年ずつ行います。この期間に大学院入学も選択可能となっています。
また、4年目以降に他の病院からの移動ももちろん可能です。その場合の研修プログラムは個々にあったフレキシブルなものを用意します。一時的(数か月から数年)の研修・研究も大歓迎です。社会人大学院や医員の身分での研修も可能です。期間や希望研修内容によりますが、なるべく希望にそった研修となるように配慮します。

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プログラムの4つの特徴

  • 1. 専門医あるいはサブスペシャリティー資格獲得への道筋

    まず基本的な脳外科手技については、若手の頃より研修してもらいます。つまり脳外科専門医になるまでは基本的な研修に力を注いでもらいます。その中でこれは自分がとても興味が持てると思えるものを伸ばすように教室がサポートします。例えば、研究に興味があれば大学院に進んだり、臨床のある分野に興味があれば、その分野に長けている施設へ研修の斡旋をしています。それは国内外を問わず常に枠を用意しています。

  • 2.高度医療と最先端の研究

    信州大学で専門医研修をするメリットは、高度医療と研究にあります。
    困難な症例に対して新しい手術術式ならびに機器を世界に発表してきました。大学病院では、常に最先端の治療を研修することが可能です。

  • 3.地域医療と救急医療

    脳神経外科分野では、大学病院で学ぶ内容と、関連施設で学ぶ内容がそれぞれ異なります。専門医となるために、大学病院および関連施設の両施設で研修する必要があります。
    関連施設で専門医研修するメリットは、地域医療と救急医療にあります。
    多くの病院から学ぶべきことも多く、経験すべき疾患に偏りがないよう研修するよう考慮します。血管内治療や小児脳神経外科研修も可能です。

  • 4.診療科における大学院の位置づけ、学位取得

    脳神経外科はマイナーな外科という位置づけではありますが、そのマイナーの中でも、例えば外科のある分野に限定するとそれよりも十分範囲は広く、深いものであります。それぞれが好きな分野を見つけることができるでしょう。大学院に行くと脳外科に限らず、基礎系の研究もできます。大学院に行かなくとも臨床研究で学位を取得した医師も多いです。基本的には皆が学位取得できるように教室がサポートする形としています。脳に魅力を感じてしまったら、もう後戻りはできません。自分の好きな分野の研究に没頭するだけです。

研修コース

  臨床研修コース 大学院コース
1年目 卒後初期臨床研修 卒後初期臨床研修
2年目 卒後初期臨床研修 卒後初期臨床研修
3年目 大学病院 脳神経外科(神経症候学・神経画像診断学) 大学院入学(内2年間は臨床研修を含む)
※大学院入学は必ずしも3年目でなくてもよい
4年目 関連病院 脳神経外科(脳血管障害・神経救急など)
5年目
6年目 大学病院 脳神経外科(脳血管障害・脳腫瘍・機能脳神経外科など) 大学院卒業
7年目 脳神経外科専門医資格受験 脳神経外科専門医資格受験
8年目 臨床のある分野に興味があればその分野を伸ばすための国内外留学を斡旋 研究に更に興味があればその分野を伸ばすための国内外留学を斡旋

専門研修プログラムの詳細はこちら

取得できる専門医、資格 (一例、詳細は各学会のHPを参照してください)

日本脳神経外科学会専門医

初期研修2年後、脳神経外科研修4年後に受験資格。筆記と口頭試験。

日本脳神経血管内治療学会専門医

脳神経外科専門医などを有しており日本脳神経血管内治療学会に4年以上在籍。脳血管撮影300例以上と血管内手術100例以上の臨床経験で受験資格。筆記と実技試験。

日本脳卒中学会専門医

脳神経外科専門医などを有しており日本脳卒中学会に在籍3年以上で受験資格。筆記試験。

日本脊髄外科学会認定医

脳神経外科専門医を有しており日本脊髄外科学会に4年以上在籍。認定施設で1年以上の研修が必要で脊髄脊椎手術100例以上の臨床経験で応募資格。

日本救急医学会専門医

臨床経験5年以上で日本救急医学会に3年以上在籍。さらに救急の専従として3年間の臨床修練が受験資格。筆記試験。

日本リハビリテーション医学会認定臨床医

臨床経験5年以上でリハビリテーション医学会に在籍3年以上。認定施設で1年以上の研修が受験資格。筆記試験。

神経内視鏡技術認定医

脳神経外科専門医などを有しており日本神経内視鏡学会に在籍。2回以上の学会主催の講習会参加と20例以上の症例経験。

てんかん専門医

日本てんかん学会に3年以上在籍。日本てんかん学会総会の出席、50例の症例経験、3年以上の研修施設での研修歴で受験資格。筆記試験。

脳神経外科医の日々

脳神経外科医の主な1日

  • カンファレンス
    基本的に当教室は朝8時からカンファレンスを行っています。担当医からその日の手術症例の病歴、神経所見、画像所見、手術術式についてプレゼンテーションを行います。教室員全員で手術症例の確認を行い共有を図ると共に、教授や講師陣からの指導が行われます。
  • 手術
    月水金が顕微鏡や内視鏡を使用した手術、火曜日が脳血管内治療となります。研修医も積極的に手術に参加します。
  • チームカンファレンス

    上級医と共に、手術症例の画像所見の確認や術式の確認を行います。特に若手の脳外科医にとっては知識や技術の向上や共有が図れる場所です。

    病棟回診
  • 教授回診
    教室ミーティング

    若手の医師は上級医とチームを組んで病棟業務に当たりますのでいつでも気軽に相談することが可能です。また緊急手術の際も曜日によって担当するチームが決まっています。空いている時間は自分の勉強や論文執筆に充てることが可能です。

    病棟回診
  • 病棟回診
    緊急手術
    若手の医師は上級医とチームを組んで病棟業務に当たりますのでいつでも気軽に相談することが可能です。また緊急手術の際も曜日によって担当するチームが決まっています。空いている時間は自分の勉強や論文執筆に充てることが可能です。

脳神経外科医の主な1週間

  午前 午後
  • 8:00ー カンファレンス
  • 手術
  • 手術
  • チームカンファレンス(適宜)
  • てんかんカンファレンス
  • 8:00ー カンファレンス
  • 脳血管内治療
  • 脳血管内治療
  • チームカンファレンス(適宜)
  • リハビリテーションカンファレンス
  • 放射線カンファレンス
  • 病理カンファレンス
  • 8:00ー カンファレンス
  • 手術
  • 手術
  • チームカンファレンス(適宜)
 
  • 脳血管撮影
  • カンファレンス
  • 教授回診    
  • 教室ミーティング
 
  • 8:00ー カンファレンス
  • 手術
  • 手術
  • チームカンファレンス(適宜)
  • 研修医クルズスなど

先輩からの声

  • 卒後1年目

    脳神経外科を選んだ理由は、単純に学問的興味があったのに加え、外科医の中でも唯一脳に触れることができるという点に魅力を感じたからです。 また、脳、脊髄、末梢神経を扱い、専門分野としては血管障害、脳腫瘍、脊髄脊椎疾患、てんかん、その他機能的外科と、本当に幅広く面白い領域だと思います。専門医を取得後、外来で頭痛や認知症を専門に扱う先生もいらっしゃいます。脳神経外科は周りからは忙しい、大変というイメージを持たれることが多いですが、当院では上級医も含め、帰れる時には定時で仕事を終えて帰るようにしています。休日は趣味などに時間を充てることもできます。
    信州大学脳神経外科は、脳動脈瘤の治療に使われる杉田クリップの開発に貢献された初代教授故杉田虔一郎先生をはじめ、国際学会での発表など海外との繋がりを大切にしてこられた先生も多くいらっしゃいます。現在もアジアを中心に様々な国から留学生が勉強に来られ、自然と英語を使用する機会が多くあり刺激になります。また、上級医の先生方はわかるまでご指導くださいます。大都市の大病院と比べると症例数や専門性に劣る部分もあるかもしれませんが、地域の医療を担っているという使命感がより強く感じられます。症例1つひとつ丁寧に向き合うこともできると思います。 是非信州大学脳神経外科を研修先に選んでもらえたら嬉しいです。

  • 卒後10年目

    卒後10年目になります。現在サブスペシャリティーの専攻をしています。
    当教室に入局後の一般的な流れについてですが、入局1年目は大学病院での研修が中心となり、豊富な症例を基に神経診断、解剖、基本手技、術後管理、病棟管理等を学びます。2年目以降に関連基幹病院に勤務し、頭部外傷や急性期の脳血管障害の診療を行いつつ、手術についての研鑽を重ねます。現在は必ず血管内治療、神経内視鏡などの症例が豊富な病院に配属されますので、症例の蓄積を行うことが可能です。通常は5年目で日本脳神経外科学会専門医試験の受験になります。この近辺になると再度大学病院での研修となり、カンファレンスなどを中心に試験対策を行います。大学病院は比較的マンパワーもありますので、試験勉強に集中することが可能です。
    また、条件を満たしていれば日本脳神経外科専門医取得とほぼ同時期に日本脳神経血管内治療専門医や神経内視鏡技術認定医などの資格を取得することが可能です。症例数や学会在籍年数、試験などが必要ですが、前述の様に大学病院、関連基幹病院で症例の経験を積むことが可能ですので、前もって準備しておけば問題ないと思います。無事に専門医試験に合格した後は、サブスペシャリティーの専攻や大学院入学、国内外への留学など多様な進路の可能性があります。学会発表、論文の指導体制も整っており、非常に活発に活動している教室と思います。