研究内容の紹介- モータグループ

モータは電磁気の作用を利用して,電気エネルギーを回転運動などの機械的エネルギーに変換する装置です。

エアコン,洗濯機,掃除機などの家電製品をはじめ,電気自動車や空飛ぶクルマなど幅広く実装されています。

当研究室では,モータの高効率化・小型化を目指し,新材料の開発から磁気回路設計,試作試験までを一貫した研究開発を進めています。

図1 解析の様子
解析の様子
図2 実験の様子
実験の様子

磁性コンポジットコアモータ

磁性コンポジットは粒子径が数μmの軟磁性粉をバインダ樹脂の中に分散配合した材料です。磁性粉同士は絶縁されており鉄損がかなり小さいことから,磁性コンポジットに変動磁界が作用しても発熱がほとんどありません。

当研究室では,磁性コンポジットをモータコアの全部あるいは一部に利用することで,高速回転モータの損失を低減する技術を開発しています。
電磁鋼板の代わりに磁性コンポジットを固定子コアに利用することで30,000 rpmの高速回転時の損失を大きく改善できることを明らかにしています。
また,リング状に成形した磁性コンポジットを固定子に装着することでギャップ部の空間高調波を抑制し,冷却が難しい回転子の温度上昇を20℃以上低減しています。

論文・学会発表

[1]「磁性コンポジットリングを固定子に装着した表面磁石形同期モータの磁石温度上昇の抑制効果」,髙木 遼斗,佐藤 光秀 他,電気学会論文誌D, 146(2), 67-75, 2026

[2] "Improvement of the Magnetic Properties of a Magnetic Composite Material for Motor Cores",Takashi Nakamura, Mitsuhide Sato, et.al., Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics, 33(3), 193-198, 2025

磁性コンポジット
磁性コンポジットコアモータ

磁性コンポジットを利用した可変磁束モータ

幅広い回転速度で運転することが求められる可変速運転モータが身近には多く存在しています。例えば,洗濯機用モータは,洗い・すすぎモードでは低速・高トルクで運転し,脱水モードでは衣類から水分を遠心力で飛ばすために高速回転で運転しています。
このように可変速運転モータは1台で低速から高速まで運転するため,幅広い領域の高効率運転と運転範囲の拡大が要求されています。これに対し,速度に応じて磁石の磁束を制御する可変磁束技術が有効です。

当研究室では,磁性コンポジットを回転子に挿入した可変磁束モータの研究開発を進めています。磁性コンポジットの磁気特性を固定子コイルの磁気作用で制御することで,磁石磁束の短絡量を調整し,96%高効率領域を拡大します。
また,さらなる運転範囲の拡大に向けて,磁性コンポジットの特性向上および電磁界解析ソフトウェアを用いたモータ構造の設計を行うとともに,実機試験によってその効果の検証を進めています。

可変磁束モータ
モータの効率マップ
論文・学会発表

[1] "Verification of Variable Magnetic Flux in Motor With Magnetic Composite Materials Inserted Into the Rotor", Mitsuhide Sato, et.al., IEEE Access, vol. 13, pp. 28979-28987, 2025

[2] "Expansion of Motor High-Efficiency Area by Inserting Magnetic Composite Material into Rotor" Mitsuhide Sato, et.al., IEEE Access, vol. 11, pp. 34772-34782, 2023