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水資源の保全・利用する社会実装研究スタート! ―栄村・秋山郷で小水力発電竣工セレモニー開催

13年10月25日

  長野県北部地震の被災地・下水内郡栄村で10月18日、湧き水を利用した小水力発電システムの竣工セレモニーが開催され、同村の島田茂樹村長や信州大学の三浦義正理事ら関係者約40人が同システムの稼働開始を祝いました。
   この小水力発電システムは、栄村小赤沢地区に設置され、学問領域を超える文理融合でスタートした「信州大学RISTEX研究プロジェクト」が中心になり管理運営し、研究を進めます。
   発電した電力は公衆トイレの照明などに日常的に使用されるほか、災害時には非常用電源としても活用されます。しかし、単にこうした具体的機能を果たすことだけが目的はなく、水資源の保全とエネルギー利用のシステムを実際に地域に広げていくためのモデルケースを作り出すことが研究の大きな目的です。
竣  工セレモニーでは信州大学の三浦理事が、「社会実装にむけたモデルケースづくりとして重要」と挨拶。同プロジェクトの代表である天野良彦工学部教授が「重要な資源である水を保全すると共に、社会のために活用するシステムを構築したい」と抱負を語りました。
   また現地・栄村の島田村長は、「太陽光と違い、小河川の水は村中にたくさんあるので、ぜひ活かして欲しい」と希望を語りました。
   小水力発電責任者の池田敏彦工学部名誉教授が発電システムの説明を行い、秋山小学校の全校生徒4名が通電式。小さな手を重ねてスイッチを押すと、未来を燈すかのような3つのライトが点灯し、会場は拍手に包まれました。 
   また、このセレモニーには、今年5月に急逝された同プロジェクト代表(当時)の人文学部村山研一教授の娘さん・村山智子さんも参加されました。セレモニーのあいさつでは、言葉少なに深々と頭を下げられていましたが、取材に、「父は、栄村が好きでたびたび話を聞かせてくれました。この美しく深い山の中で父が仕事をさせていただいていたのかと思うと感無量です。少しでも、こういう地域のお役に立つことができれば、父も本望だと思います」と語って下さいました。
   同プロジェクトは、地域における水資源の保全とエネルギー利用を研究する事を目的にしたもので、独立行政法人科学技術振興機構社会技術研究開発センター(JST-RISTEX)が進める「社会技術イノベーション政策のための科学研究プログラム」に採択されています。
   近年、水の資源として価値が見直され、その保全と有効活用の方法確立に注目が集まっています。しかしそこには、技術的な問題や、地元住民の意思形成と合意、水利権などの法的問題などが山積しています。同プロジェクトでは、こうした社会実装上の課題を、学問領域を超えた多角的・複合的視点から包括的に検証し、解決することを目指しています。

発電システムの説明をする池田敏彦工学部名誉教授

発電システムの説明をする池田敏彦工学部名誉教授

通電式には秋山小学校の全校生徒4名が参加

通電式には秋山小学校の全校生徒4名が参加

クロスフロー水車発電機

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