ホーム > トピックス一覧 >

トピックス詳細

トピックス

国際科学技術財団「やさしい科学技術セミナー」信州初、信大農学部で開催

13年07月26日

セミナー参加者

セミナーに参加した箕輪北小学校の生徒と信大スタッフ

 子どもたちを対象に、様々な分野の研究成果や先端技術をわかりやすく解説し、科学を身近に感じてもらうことを目的に開催されている「やさしい科学技術セミナー」が、7月19日に農学部などで開催されました。
 主催したのは、世界的に権威のある日本国際賞(JAPAN PRIZE)の顕彰をはじめ、研究助成金の贈呈などを通じて若手研究者の育成を図る公益財団法人国際科学技術財団。信州大学の山岳科学総合研究所の江田慧子助教が、2013年度同財団の研究助成の対象となったことがきっかけで、今回のセミナーが信大共催で開催されることになりました。これまで全国各地で開催されており、今回で231回目を数えますが、長野県での開催は初、江田助教が講師を務め、箕輪北小学校の6年2組の生徒25名が参加しました。

 

平地林に出て昆虫を採集・観察

 セミナーのメインは、午後、農学部から車で10分ほどの伊那市のますみヶ丘平地林を会場に行われた昆虫採集。同地は、国の絶滅危惧種に指定されている蝶・ミヤマシジミなども生息している生態系が豊かな里山で、農学部もその保全に協力しています。
 子ども達は、江田助教や学生スタッフの指導の下、虫取り網を使い、昆虫を採集。捕まえた昆虫は、それぞれ図鑑を手に、その種名を調べる「同定」を行ないました。
 江田助教は、「自分で採集して、調べる事で親近感を持てる様になります。こうした中で信州の自然の豊かさを再確認してもらいたい」と話しました。
 子ども達は「今まで虫が苦手だったけど、虫を捕まえたり江田さんの話を聞いたりする中で、虫も同じ生き物だということを感じました」と話し、江田助教やスタッフらに感謝の言葉を述べました。

虫取りアミの組み立て方

虫取りアミの組み立て方を説明する江田助教(右奥)

質問に来る子ども達

昆虫の同定で質問に来る子ども達

昆虫の数を発表

同定した昆虫の数を発表

昆虫の名前を調べる

図鑑を調べて、昆虫の名前を調べる

捕まえた昆虫

捕まえた昆虫

昆虫採集をする子ども達

ますみヶ丘平地林で昆虫採集をする子ども達


羊に餌をやる

羊と触れ合う子ども達

 これに先立って午前中には、農学部キャンパスの見学を行ないました。地域のために鹿の獣害防止策の研究を進める竹田謙一准教授や、鳥類のキメラ(複数の遺伝情報が混在した細胞を持つ個体)について研究を行っている小野珠乙教授の研究室を訪れました。子ども達は、鹿や羊と触れ合い、遺伝子レベルの最先端科学技術について学びを深めました。




竹田先生

鹿の獣害防止策について説明する竹田謙一准教授

小野先生

鳥類のキメラについて説明する小野珠乙教授

江田助教の研究への助成採択がきっかけ

 国際科学技術財団では、35歳未満の若手科学者・研究者を対象に研究への助成を行なっています。毎年、研究助成の対象分野が変わるという珍しいものです。
 2013年度は、「物質、材料、生産」と「生物生産、生命環境」という2分野で合計18名が助成を受けています。江田助教の希少種の蝶チャマダラセセリの保全・保護に関わる研究が今年採択されました。この助成を受けるのは信州大学では江田助教が初のことです。このことがきっかけとなり、今回のセミナー開催に繋がりました。
 セミナーの準備から携わられた同財団コミュニケーショングループ主任の小倉貴喜さんは「研究成果は、単に報告書にまとめるのではなく、地元の人にアウトプットしていくことも重要だと考えています。今回のような取り組みを通じて、子ども達に夢と科学への関心を持ってもらいたい」と話していました。


「第231回やさしい科学技術セミナー」江田慧子助教(制作著作:国際科学技術財団)