医学系研究科と関西大学が学術協定を締結
13年03月31日
関西大学人間健康学部と信州大学大学院医学系研究科はこのたび、スポーツ医科学分野において、「高齢者の健康長寿のための個別運動処方の全国展開」をめざして、教育・研究・社会貢献活動などで連携および協力することを目的とした学術連携の協定を締結し、3月25日に松本キャンパスで記者会見を行いました。
信州大学大学院医学系研究科では、インターバル速歩や携帯型カロリー計等による生活習慣病予防や健康増進を目的とした熟年体育大学事業(http://www.jtrc.or.jp)を国内31カ所の自治体や大学で展開しており、現在までに5,200名のデータベースを構築、遺伝子的な体質のデータも2,000人規模で持っています。その効果について、国外の有力医療機関であるメイヨー・クリニック(米国)やコペンハーゲン大学(デンマーク)、イェール大学(米国)に検証を依頼し、国際的に高い評価を得ることで、世界の先端を行く研究となっていますが、今後はさらに国や地域を広げてデータの蓄積が重要となります。
今回の関西大学人間健康学部との学術連携では、同学部がある堺市(人口85万人)、同大学本部がある吹田市(人口35万人)において熟年体育大学事業を導入し、関西大学の地域貢献事業とするだけでなく、同大学が既に持つ知的リソースと融合することで、新たな健康増進プログラムを開発、さらにそれを担う人材を育成し、同事業を全国的に展開することを目指します。信州大学にとっても、より多くのデータの蓄積と事業の展開が可能となるだけでなく、高齢者の健康長寿のための個別運動処方を確立できるという点で、大きな期待が寄せられています。
福嶋医学系研究科長は会見で、「今までの医学では治療研究が主流だったが、目指すべきは疾患予防の研究であり、本学では平成24年度から疾患予防医科学専攻を設けている。その中核を担っているスポーツ医科学の取り組みを全国に広げ、関西方面の学問大系に広く利用されるのを大変嬉しく思う。研究成果の蓄積が重要なのでより多くの方に参加いただいて、確実な研究成果が得られることを願っている」と述べました。
関西大学人間健康学部の小田副学部長は、「今回の学術連携の協定締結を嬉しく思う。人間健康学部は堺市との連携事業から出発している学部で、様々な講演やセミナーを実施しているが、今後は大きな目玉としてインターバル速歩を取り入れたプログラムに多くの市民に参加していただき、信州大学のノウハウを蓄積して、将来的には地域の医療や看護、介護、福祉の分野と連携し、社会貢献を実施していきたい」と話しました。
インターバル速歩を考案した医学系研究科の能勢教授は、「生活習慣病は同じ食物、同じ生活パターンを通じて集団発生するので、その予防には地域に根ざした予防体制をとらないと解決できない。今後の医療は社会学・民俗学等、人文科学を含んだ総合的で学際的な取り組みが必要であり、関西大学であればそれを実現していただける」と、今回の連携協定に大きな期待を寄せていると話しました。
