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今までの"呼吸"の仕組みの常識が変わる研究成果を発表(医学部大橋教授)

12年05月28日

医学部 大橋俊夫教授

医学部 大橋俊夫教授

医学部の大橋俊夫教授は平成24年5月28日に記者会見を開き、今までの「呼吸」の仕組みの常識が変わる研究成果について発表しました。

現在、様々な教科書や医学書では、生物が「呼吸」をする仕組みとして、赤血球のヘモグロビンを介して酸素と炭酸ガス(二酸化炭素)の交換を行っているというのが常識となっていますが、実際には赤血球が無い状況や貧血患者でも炭酸ガスを発生することが確認されており、その仕組みについては説明がなされていませんでした。

このたび、器官制御生理学講座の大橋教授は、同講座の河合佳子准教授らとともに実験を行い、肺の中で一番血液の流速が大きい細動脈(血管)の内皮細胞が血流の刺激を受けて炭酸ガス生成のために必要な水素イオンを発生することを発見しました。

今まで常識とされていた呼吸の仕組みでは、肺胞を取り巻く毛細血管中の血液が酸素と炭酸ガスの交換を行っていると説明していますが、血液が肺胞を通過する時間はわずか0.75秒程度で、今回の研究成果ではこれらはあくまで補助的な役割であり、実際はその肺胞に至る手前の細動脈でほとんどが炭酸ガスに交換されていることが分かりました。

『赤血球が無ければ酸素が運べない=呼吸ができない』とされてきた世界中の常識に対し、今回の研究成果は『血液さえ流れていれば赤血球がなくても炭酸ガスが交換できる=呼吸ができる』という、新たな概念の発見について提唱するものです。「教科書が書き替わるのにおよそ10年くらいかかるが、今後、この間に世界中でこの細動脈と血流のはたらきについて追試験・実証が行われ、より詳細に呼吸の仕組みが解明されるだろう」と大橋教授は力強く語りました。