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タイでの宇宙線観測を米誌サイエンスが紹介

07年11月27日

 信州大学がタイとの共同研究として進めてきた、「中性子モニター」による宇宙線観測が始まりました(本学からは理学部物理科学科の宗像一起教授、加籐千尋准教授、全学教育機構の安江新一准教授が参加)。稼動中の「中性子モニター」は、それまで日本で稼動していたものを信州大学から提供したものです。この成果は、11月22日付の米科学誌サイエンスに掲載されました。
 この観測地点は、地球磁場の影響により、地球上で宇宙線(陽子を主成分とする高エネルギー原子核)が最も入射しにくい場所に位置しています。このため、そこでの観測は、世界各地で稼動している「中性子モニター」の中でも、エネルギーの低い宇宙線の影響を最も受け難いという特徴を持っています。
 太陽面爆発に伴い、大量の中性子(太陽中性子)が宇宙空間に放出されているらしいことは、長く知られてきました。太陽中性子は太陽や地球の磁場の影響を受けずに直進するので、精度良く観測できれば、太陽面爆発に伴う高エネルギー現象を直接調べることが出来ると期待されています。ところが、地上の「中性子モニター」は電荷を持った宇宙線にも感度があるため、太陽面爆発で大量に放出される太陽宇宙線に邪魔をされて、きれいな現象を捉えることが困難でした。タイでの観測は、こうした問題を解決する新観測として注目されています。
 2010年頃の次期太陽活動極大期には、多くの太陽面爆発現象の発生が予想されます。新観測装置は、それらに伴う太陽中性子を精度良く観測することを目指して、現在観測中です。

(理学部 宗像教授)