ホーム > トピックス一覧 >

トピックス詳細

トピックス

文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞

07年04月12日

遠藤教授

遠藤教授

工学部遠藤守信教授 文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞

 本学工学部電気電子工学科遠藤守信教授が、『触媒気相成長法によるカーボンナノチューブの研究』により、文部科学大臣表彰「科学技術賞 研究部門」を受賞しました。本賞は、我が国の科学技術分野において顕著な功績をあげた者に与えられるもので、科学技術の発展に寄与する可能性の高い独創的な研究または発明を行った個人又はグループに対して授与されます。長野県内では、文部科学大臣表彰「科学技術賞 研究部門」での唯一の受賞者となりました。
 表彰式は4月17日(火)12時より東京都港区虎ノ門パストラルで挙行されます。

 今回、受賞対象となった遠藤教授の研究概要は以下のとおりです。
 カーボンナノチューブ(CNT)の生成法としては、アーク法やレーザアブレーション法が挙げられますが、副成物の混入や量産性に難しさがあります。しかし遠藤教授による触媒気相成長法は大量生産性に優れ、高純度で生成でき、また構造制御も可能な優れた方法であるため、これを用いて既に商業生産され、将来のナノテク革新素材として大きな発展性が見込まれています。
 本研究では、超微細な鉄触媒粒がCNTを成長させるとする成長機構とモデルを提案し、それを実証して生成の再現と実用化技術にまで発展させました。さらに触媒を浮遊させてCNTを成長させる触媒浮遊法の開発によって大量合成法を開拓し、CNTの工業生産を実現しています。
 本研究により、主にLiイオン電池電極の添加剤として実用が進みIT時代に大きな貢献を果たしています。また、CNT/樹脂複合材料は産業応用が進み、スポーツ用品にも実用展開が始まりました。さらに本法による単層CNTを用いて電子回路やセンサー等の電子デバイス分野でも応用研究が進められています。
 本成果は、世界で初めてCNTの大量生成法を開発し、様々な応用へと発展させ、さらには、多層CNTは生体に不活性であることを明らかとし、社会的受容の推進に向けても広く研究展開しています。CNTは21世紀を先導する革新的な素材として国際的に大きな期待を集めており、遠藤教授にはその実現に向けて基礎科学から応用の広範な分野で顕著な貢献に寄与することが期待されています。