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「Biology Letters」に論文掲載(理・浅見崇比呂 助教授)

07年02月21日

タイで左右巻型の共存機構を調査する浅見助教授

タイで左右巻型の共存機構を調査する浅見助教授

 信州大学理学部生物科学科の浅見崇比呂(あさみ・たかひろ)助教授と京都大学大学院理学研究科の大学院生、細 将貴(ほそ・まさき)さん、堀 道雄(ほり・みちお)教授との共同研究の成果が英国科学雑誌「Biology Letters」オンライン版2月14日に掲載されました。印刷版は3月発行の予定です。

 カタツムリを食べるヘビは、右巻きを食べやすいように、歯が右側に多い上に、左右非対称な攻撃行動を進化させていることを発見しました。日本の八重山諸島(沖縄県)や東南アジアには、カタツムリだけを食べるヘビ(セダカヘビ属)がいます。博物館の所蔵標本を調べたら、脊椎動物には考えられないほど歯の数が左右で異なっていました。日本のイワサキセダカヘビで実験をしたら、左巻きはうまく捕まえられず、食べた場合でも、手間取って余計に時間がかかりました。この研究で、ヘビは、右巻きを食べる効率を優先して"右利き"に適応進化したことがわかりました。
 カタツムリのうち9割以上の種が右巻きです。東南アジアには、他の地域と比べ、左巻きの種が多く見つかります。それなのに、セダカヘビには、"左利き"が見つかりません。そのかわり、調べた14種のうち2種がほぼ左右対称で、ナメクジなどを食べるように新たに進化したと考えられます。祖先の左右対称に戻るほうが、"左利き"に変わるより実現しやすいからにちがいありません。一方、巻貝は、たった1個の遺伝子の変化で巻き方向(と内臓の左右)を反転できます。現在、左巻きのカタツムリが"右利き"のヘビに対抗して進化したことを立証する研究を進めています。

論文
Right-handed snakes: Convergent evolution of asymmetry for functional specialization.
(Biology Letters, doi:10.1098/rsbl.2006.0600)