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高エネルギー宇宙線の研究成果が米誌サイエンスに掲載

06年10月25日

チベット空気シャワーアレー

チベット空気シャワーアレー

 東京大学などの大学研究者が参加するチーム(本学からは理学部物理科学科の宗像一起教授、加籐千尋助教授、全学教育機構の安江新一助教授が参加)が中国チベット高原での日中共同実験で、高エネルギー銀河宇宙線の到来方向分布を、世界最高の精度で観測することに成功し、1997年から9年間の膨大な観測データをもとに、精密な宇宙線の分布図を作成しました。この成果が、10月20日付の米科学誌サイエンスに掲載されました。
 銀河宇宙線は非常に高いエネルギーを持つ原子核(主に陽子)で、銀河内の超新星爆発等でつくられたと考えられていいます。
 実験は、宇宙線が大気中で生成する「空気シャワー」と呼ばれる現象を、標高4300mの高地で、観測します。
 図は、地球に飛来する宇宙線の数を、飛来方向の赤経・赤緯ごとにカラーマップで表したもの。赤い領域が宇宙線が多く飛来する方向を示します。例えば、図中Ⅲと記された領域は銀河の腕(オリオン腕)に沿う方向で、その方向からも宇宙線が多く飛来していることが分かります。
 研究チームは今後も、チベットの観測装置を宇宙線とガンマ線をそれぞれ検出できるように改良、強度に変化のあった部分の詳細な観測を続けます。  (理学部 宗像教授)

※ チベット空気シャワーアレイ
 1990年、中国・チベット自治区の羊八井高原(標高4300メートル)に日中共同で建設された宇宙線観測施設。約37000平方メートルの敷地に、荷電粒子をとらえる「シンチレーション検出器」が約800台設置されている。地球に飛来した宇宙線は、大気中の原子核とぶつかり大量の2次粒子を生み出す「空気 シャワー」と呼ばれる現象を起こすが、このとき生まれた粒子が発する光を検出、元となった宇宙線のエネルギーや方角を算出する。