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「Nature」に論文掲載(医・高 昌星教授)

06年05月08日

研究室の高教授(パソコン画面は投稿した論文)

研究室の高教授(パソコン画面は投稿した論文)

 信州大学医学部保健学科生体情報検査学講座の高 昌星(こう・しょうせい)教授と大阪大学微生物病研究所審良静男(あきら・しずお)教授らとの共同研究の成果が英国科学雑誌「Nature」オンライン版4月9日(米国東部時間)に掲載されました。印刷版は5月4日発行の予定です。

 細胞質に存在するタンパク質群(RIG-IとMDA5)が、異なったウイルスの侵入を感知するセンサーとして機能することを明らかにしました。自然免疫系は、インフルエンザウイルスなど多様なウイルスの細胞内への感染を感知し、抗ウイルス反応を引き起こすことが知られています。しかし、多様なRNAウイルスを細胞内のタンパク質がどのようにして認識するのか、詳細については現在までよく分かっておらず、その解明が期待されていました。

 今回、マウスの細胞を使って、細胞質内に存在する2つのタンパク質、RIG-I、MDA5がそれぞれ異なるウイルスを認識することを明らかにしました。このうちRIG-Iはインフルエンザを始めとする様々なウイルスを、MDA5は心筋炎や脳脊髄炎の原因となるウイルス(Theiler's virus)が含まれるピコルナウイルス科のウイルスを、特異的に認識していました。また、MDA5もしくはRIG-Iを欠損するマウスを解析したところ、これらのタンパク質がウイルス感染制御に重要な役割を果たしていることがわかりました。本研究成果は、多様なウイルスの侵入を細胞内のタンパク質(RIG-I、MDA5)が感知するメカニズムを明らかにしたもので、今後、ウイルス感染症に関する研究において、ウイルスの種類に応じた感染予防・治療技術の開発に大きく貢献するものと期待されます。

論文
Differential roles of MDA5 and RIG-I helicases in the recognition of RNA viruses.
(http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/abs/
nature04734.html;jsessionid=99D6722094462986E5C8BAF0395D4BB2)