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大学院総合工学系研究科理研連携研究室が参画した共同研究成果が、Wiley-VCH出版のオープンアクセスジャーナルChemistryOPENのカバーピクチャーに採択

16年12月22日

東京理科大学と理化学研究所、本学大学院総合工学系研究科理研連携研究室(金山直樹准教授、前田瑞夫教授)の共同研究グループが発表した、DNAと金ナノ粒子の複合体を用いる遺伝子の一塩基多型(SNP)の簡便・迅速な診断法に関する研究成果が、ドイツWiley-VCH出版のオープンアクセスジャーナルChemistryOPENの表紙(Cover Picture)を飾りました。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/open.201600143/full

また、本共同研究に参画したメンバーのプロフィール等も併せて同誌で紹介されました。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/open.201600142/full

 

論文タイトル:Rapid Naked-Eye Discrimination of Cytochrome P450 Genetic Polymorphism through Non-Crosslinking Aggregation of DNA-Functionalized Gold Nanoparticles

筆者:Yoshitsugu Akiyama, Guoqing Wang, Shota Shiraishi, Naoki Kanayama, Tohru Takarada, Mizuo Maeda

CHemistryOPEN 2016, 5, 508-512. (DOI: 10.1002/open.201600110)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/open.201600110/full

 

薬の効き具合や副作用の出やすさには個人差があります。これは、人によって体内での薬の代謝・分解のされ方が異なるためです。体の中に取り込まれた薬の代謝・分解を主に担っているのは、肝臓にあるシトクロムP450という酵素群ですが、これをコードする遺伝子上での僅かな塩基配列の違い(一塩基多型)が酵素の構造、ひいては薬剤の分解活性に影響を与えることがわかっています。治療が必要な患者の遺伝子のタイプを、診療所などで簡単に判定できれば、その体質に適した薬の処方に繋がることが期待されます。

今回、共同研究グループは、薬剤代謝酵素の1つであるシトクロムP450 2C19モノオキシゲナーゼ遺伝子CYP2C19 * 1における一塩基多型(CYP2C19 * 2(G681A点変異体))を対象に、DNAを修飾した金ナノ粒子(DNA-AuNP)の発色変化を利用した目視による迅速な診断法を開発し、ヒト毛根細胞から取り出した遺伝子サンプルを使ってその有効性を実証しました。遺伝子における一塩基の違いを目に見える色の変化として検出できる本診断法は、医療のみならず環境や食品など、様々な分野への応用が期待されます。