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名古屋芸術大学の金子敦子教授が、繊維学部で「養蚕唱歌」を取材

16年06月29日

名古屋芸術大学 金子敦子 教授

名古屋芸術大学 金子敦子 教授

  名古屋芸術大学の金子敦子教授(音楽学)が、6月17日、繊維学部図書館所蔵の「養蚕唱歌」を取材しました。明治43年(1910)設立の上田蚕糸専門学校を前身とする繊維学部には、養蚕・製糸に関する古い資料が数多く保存されており、見学者、取材者も少なくありませんが、「養蚕唱歌」を重点的に取材したのは、金子教授が初めてです。

 

  金子教授によると、「養蚕唱歌」は、当時、日本の主要産業だった養蚕業のさらなる振興を図るため、明治政府の肝いりもあって編纂された唱歌集です。一般的には一つのメロディーで歌詞が30番も40番も続きます。何曲作られたか定かでありませんが、1曲が1冊子にまとめられており、繊維学部図書館には3種類3冊が保管されています。金子教授はこのうち、「実業教育養蚕唱歌」「実業教育蚕業唱歌」にこれまで接したことがなく、2冊の全ページをカメラに収めるなど、熱心に取材を続けました。

 

  「実業教育養蚕唱歌」は、明治35年の発行。24番目まで歌詞があり、最初のページに楽譜が載っていますが、甲(ト調4分の4拍子)、乙(ヘ調4分の4拍子)の「2本立て」です。「実業教育蚕業唱歌」の楽譜は1種類のみですが、歌詞は春夏秋冬ごとに「巻」にまとめられ、それぞれ10番ずつ歌詞が収められています。

 

  「養蚕唱歌」の1番は「養蚕(かいこ)せよかしせよかいこ 野にも山にも桑うえて 家内なかよく睦ましく 我子そだつるようにして」。こんな七五調の歌詞が延々と続きます。金子教授は楽譜を見ながら、両歌集を口ずさみました。いずれも簡易なメロディーで、だれでも簡単に覚えられそうです。金子教授は「こんな貴重な資料を大切に保管していただいて、ありがたい。さすが繊維学部さん。歌詞の多様性、覚え易いメロディー、強いメッセージ性といった養蚕唱歌の特徴を確認できました」と大喜びで話していました。さらに養蚕唱歌の研究を続け、「歌が養蚕業に与えた影響」についてまとめたいということです。