CITI Japanプロジェクト研究倫理教育者・関係者連絡会議が開催されました
15年03月31日
研究倫理教育の向上に取り組む、「CITI Japanプロジェクト研究倫理教育責任者・関係者連絡 会議」が平成27年3月6日(金)に上智大学四谷キャンパスにて開催されました。昨今の論文不正などの問題を受け、文部科学省では新年度から「研究倫理教育責任者」の設 置を大学・研究機関に義務づけることとしており、 233大学の約630名の方々が参加し研究倫理教育を充実させるためには何が必要かについて熱心に議論を行いました。
関係者連絡会議の前に、CITI Japanプロジェクトの主要6大学による第4回外部評価委員会が開催されました。
委員会では早稲田大学・土田友章教授が外部評価委員長に選出され、今年度のプロジェクト事業報告と外部評価委員による事業評価を行われました。その後、外部評価委員のCITIプログラムディレクターでマイアミ大学のセルジオ リテフカ教授や韓国カトリック大学生命倫理学 Byung-in Choe教授に現在のCITI Japanプロジェクトについてコメントをいただき、また、文部科学省高等教育局大学振興課主任 堀之内氏からは、大学間連携教育推進事業を進める立場からお話をいただきました。委員会ではCITI Japanプロジェクトの今後の取り組みを確認するとともに、残りの2年間で継続的なプロジェクトに出来るような法人化への準備を進める旨を確認し、委員会は終了しました。
関係者連絡会議の冒頭では、プロジェクト事業統括をつとめる信
州大学医学部 福嶋義光教授より、会議の主旨につい て、「研究倫理教育の目的が研究不正の防止のみのためであってはならない。今までの研究不正防止対策は国がガイドラインを定め、違反した場合には厳罰に処すというトップダウンの方法、すなわち規則教育であったが、十分な効果は得られなかった。研究倫理教育では理想の研究を行うには何が必要かについて、研究者一人一人が考え始めることが最も重要であり、研究倫理教育責任者はどのようにしたらそのきっかけを作ることができるかを考える必要がある。今回、参加者の専門分野や立場、地域をシャッフルしたグループをつくり、「研究者に研究倫理について考えていただくきっかけを作るにはどのようにしたらよいかについて」ディスカッションする場を設けた。アイディアを出し合い各大学に持ち帰って実践することにより、わが国の研究倫理教育のボトムアップの充実が図られることを願っている。」と説明がありました。
講演では、倫理教育の現状や課題の共有とともに、各大学の先生方より研究倫理教育の取り組み事例のご紹介がありました。筑波大学生命領域学際研究センター講師の岡林浩嗣氏は、「筑波大学では7年前から大学院の共通科目として研究倫理を導入している。研究倫理教育は学生が早い段階から基礎を学ぶだけでなく、指導者にあたる研究者も同様に研究倫理を学ぶことが必要」と具体例とともに示されました。また、韓国カトリック大学生命倫理学 Byung-in Choe教授からは、韓国の倫理教育の現状が伝えられ、「単なるシステムや教材として倫理教育を履修するだけでなく、倫理教育をなぜ必要とするのかという、研究の社会的責任を研究者自身が考えなければならない」と研究者が倫理教育そのものを捉えなおす必要性を説かれました。
会議の終盤、参加した約630名が15のグループに分かれ、「研究者に研究倫理教育を考えてもらう有効なアイデア」や「大学や研究機関が直面している問題」など様々な議題についてのディスカッションを行い、それぞれの立場から今必要とされていることや課題を共有しました。ディスカッションでの意見や要望はCITI Japanプロジェクトにフィードバックされ、今後の教材開発に活用されることになります。初めての試みであったグループディスカッションは活発な意見が飛び交い、今回の連絡会議は幕を閉じました。
なお、説明会の詳細は、CITI JapanプロジェクトWebサイトに近日中に公開予定です。