旧制松本高等学校 寮歌『春寂寥(はるせきりょう)』 平成25年度信州大学入学式より

平成25年4月4日(水)に松本市総合体育館で行われた信州大学入学式の記念演奏で初めて旧制松本高校 思誠寮 寮歌「春寂寥(はるせきりょう)」が初めて歌われました。
本学交響楽団の演奏に合わせて混声合唱団とグリークラブが全4番までを歌い、続いて新入生も含め出席者全員で1番を合唱しました。


春寂寥(はるせきりょう) 大正九年

作詞 吉田実
作曲 浜徳太郎

【一】
春寂寥(はるせきりょう)の洛陽(らくよう)に 昔を偲(しの)ぶ唐人(からびと)の 傷(いた)める心今日(きょう)は我(われ) 
小さき胸に懐(いだ)きつつ 木(こ)の花(はな)陰(かげ)にさすらへば あはれ悲(かな)し逝(ゆ)く春の
一片(ひとひら)毎(ごと)に落(ち)る涙

【二】
岸辺(きしべ)の緑夏(なつ)木立(こだち) 榎(えのき)葉陰(ばかげ)のまどろみに 夕暮(ゆうぐれ)さそふ蜩(ひぐらし)の 
果敢(はか)なき運命(さだめ)呪ひては 命の流れ影あせて あはれ淋(さみ)し水の面(も)に
黄昏(たそがれ)そむる雲の色

【三】
秋揺落(ようらく)の風立ちて 今宵(こよい)は結ぶ露(つゆ)の夢 さめては清(きよ)し窓の月 
光(ひかり)をこふる虫の声 一息(ひといき)毎に巡(めぐ)り行(ゆ)く あはれ寒(さむ)し村(むら)時雨(しぐれ)
落葉(おちば)のこころ人知るや

【四】
嵐は山に落ち果(は)てぬ 静けき夜半(よわ)の雪崩(ゆきなだ)れ 榾(ほだ)の火赤くさゆらげば
身を打ち寄する白壁に 冬を昨日(きのう)の春の色 あわれ床(ゆか)し友(とも)どちが 
あかぬ団居(まどい)のもの語(がた)り