平成24年度放送公開講座 第1回 「がんの生物学と治療への挑戦」

第1回 1月27日(日)15:00~15:30
「がんの生物学と治療への挑戦」 谷口俊一郎 (大学院医学系研究科 教授)

  がんは私達自身の細胞から現れる不良細胞集団による病気で、遺伝子機能の変化が蓄積して生じます。がん細胞の鎮圧は簡単で、熱する、栄養を断つ、毒を盛る等、いずれでも可能ですが、それは体外にがん細胞がある場合であって、体内でがん細胞のみ攻撃し正常細胞を避けることは至難の業です。つまり治療は副作用との戦いとも言えます。

   がん細胞だけを選択し攻撃するために目印・標的探しが行われ、最近の薬物療法はかなり進化しました。しかし、がん細胞は形質が不安定で不均一集団となり、体内各所に転移する細胞も出現しますし、目印は変化し易く有効な薬にも耐性になります。従って、転移が無い早期がんでの外科的除去が最も効果的治療ですが、それができないとがんは再発し易く極めて難病となります。
番組では、がんの生物学や最近の研究動向を説明し、新たな視点で標的を定め不均一ながん細胞集団を攻撃する私達の挑戦も紹介します。

(映像制作・提供 SBC信越放送)