行木  結希乃

充実していた寄り道

短期留学

行木 結希乃さん

理学部 理学科
留学種類:交換留学
留学期間:2017年 9月 ~ 2018年 1月
留学先:マレーシア マレーシアプトラ大学

留学先大学について

 マレーシアプトラ大学は、1931年に農科大学として創設されたマレーシア有数の国立総合大学です。1997年にUniversiti Putra Malaysia という現在の名称になり、総合大学となりました。農業系単科大学が前身であるため、首都クアラルンプール南部のセランゴール州に、アジアでも有数の広大な敷地を有しています。大学内に農場や研究用のパームオイルプランテーションに加え、ゴルフ場やスタジアム、ランニングコースなどもありました。そのため、学生は大学内を走るシャトルバスや車、バイクなどで移動しています。日中はとても暑くなるので、徒歩での移動は疲れさせられます。現在は私の所属した環境学部の他、農学部や工学部、森林学部など16の学部と9つの研究所があります。2016年での教員数は約2600人、学生数は約25000人です。中国人留学生が多かった印象を受けますが、インドネシアやサウジアラビア、イランなど、ムスリム国家からの学生も多かったです。日本人留学生は10人程度でした。多くの学生は大学内の寮に住んでいましたが、自宅や大学外のアパートから通学する学生もいます。

学習面について

 講義は基本的には一コマ3時間で3単位です。しかし、私が履修した講義には5時間で3単位のものもあり、特に理系科目は実験やフィールドワーク等で例外的なものが多かったです。私のような交換留学生は4~6つの講義を履修していました。講義は早いものでは朝8時から、遅いものでは22時に終わるものもあり、先生によって異なります。1セメスターにテストが3つあり、それに加えて提出物や課題も課されるため、日本での講義よりもかなりハードでした。

 履修科目は自分の所属学部のアドバイザーと相談して決めます。キャンパスが広いため、移動時間も考慮して時間割を組み立てる必要がありました。所属学部以外の講義も交渉次第ですが、履修することは可能です。講義は主に英語で行われますが、一部の講義では、先生が現地学生を優遇したい、マレー語で講義したいなど、履修を断られることもあったそうです。また3年次向けの講義などでは、それ以前の必修科目を取っていなければ履修できないこともあるので注意が必要です。

 学習面に関しては、苦労することの方が多かったです。専門知識があって頭では理解していても、専門用語がわからず、何度も辞書を引いたりTAや先生方に質問したりして、何とかやりきることができました。特に、英語で実験レポートを書くことはとてもストレスになりました。グループワークが多かったことも日本の講義とは違って苦労しました。グループワークを通して英語でディスカッションしたり、現地の学生と交流したりと、いい経験ができたと思います。

生活について

 マレーシアはほぼ赤道直下に位置するため、一年中暑いです。そのため服装は日本での夏服で十分ですが、イスラム国家であるため肌の露出には気を付ける必要があります。大学内にもドレスコードがあり、膝上のスカートやタンクトップ、サンダルなどでは講義を受けることができません。大学に酒や豚肉を持ち込むことも禁止されていました。大学内にもモスクがあり、生活と宗教に密接な関係がある印象を受けました。もちろん、クリスチャンや仏教徒、ヒンドゥー教徒等ムスリム以外の現地学生もいるので、非ムスリムだからって差別を受けることはありません。しかし、国民の7割程度がムスリムである国なので、あらかじめイスラム教のことを知っておくと学生と良い関係が築けると思います。

 私は留学生用の寮で生活していました。留学生向けであるので、ヒーター付きシャワーや冷蔵庫、IH、エアコン付きとかなり良い場所でした。現地の学生用の寮は、冷水シャワーでエアコンなし、キッチンなし、部屋の中に水道なしとかなり過酷だそうです。UPMのある場所は、クアラルンプールから45分ほどの場所ですが田舎なので、蚊には悩まされました。また、窓を閉め忘れるとヤモリやリスまでも部屋の中に入ってくるので大変でした。

 食事に関しては、好みがわかれると思います。大学のカフェテリアや近隣の食堂で済ますと一食飲み物付きでも200円ほどでお腹いっぱい食べられます。しかし、マレー料理とインド料理の提供しかなく、香辛料だらけで私は苦手だったので、大体自炊していました。クアラルンプールや、タクシーで10分ほどのショッピングモールには、日本食のレストランがあり、日本食ロスに悩まされることはなかったです。飲料水に関しては、現地学生は煮沸したものを飲んでいましたが、私は最後までミネラルウォーターを買って飲んでいました。

留学で得たこと

 留学で得たことは度胸です。初めての海外長期滞在で、不安なことも嫌なこともたくさんあったけれど、最後には何とかなりました。初めは英語を話すときの文法のミスが怖くて、あまり積極的に話すことすらできませんでした。しかし、履修を決めるときなど、話さざるを得ないときなどを経験して、とりあえず伝えようと努力すれば向こうも言いたいことをくみ取ってくれることがわかり、それ以降はとにかく話すように努力しました。講義がわからなかった時なども、とにかくTAの人に聞き返したりして、しつこいと思われるほどまで話し続けました。つたない英語を駆使しつつ、実験やフィールドワーク、旅行を通して度胸が身についたと思います。

 また、国籍による偏見も良くないとわかりました。個々の人間として人を見る重要さを知りました。私のルームメイトには韓国人が2人いました。私は初め、その二人のことが怖くて仕方ありませんでした。近年の報道で、私は韓国に対して良いイメージを持っていなかったし、きっと二人も私のことが初めから嫌いなのだろうなと思っていたからです。しかし、彼女たちはしょっちゅう私を買い物に誘ってくれたり、夕ご飯を作ってくれたりしました。さらには、体調を崩したときには、何回も様子を見に来てくれました。結果的に、一回も喧嘩したこともなかったし、留学生活のなかで最も良い友人を得られたと思います。国に対するイメージで人を判断するのではなく、個々の人間を理解することが異文化理解なのではないかと痛感しました。

 東南アジアに対して、汚い、危ないといったイメージを持つ人も多いと思います。確かに、日本と比べれば綺麗でも安全でもありませんが、私は留学中に怖い思いはしなかったし、周りに気を付けていれば何の問題もないと思います。またマレーシアは、マレー系、中華系、インド系が共存する多民族国家です。そのため、3つの文化を体験することもでき、そこがマレーシア留学の醍醐味なのではとも思います。

 留学をしたからといって、ほとんど語学力の向上は望めないと思います。私のように半年留学ならなおさらです。私の場合、英語を話すことに抵抗がなくなったくらいの成果しか得られませんでした。語学力の向上よりも、異文化交流をしてみたい、東南アジアの自然に触れてみたい等、他のことに重きをおいた方が、より実りのある留学になると思います。私自身、東南アジアでしかできないことをすべてしよう、という気持ちで留学に臨みましたが、熱帯雨林を訪ねたりキナバル山登山に挑戦したり、他の近隣諸国を旅行したりと、日本ではできないような良い経験ができました。特に他国への旅行は、国によって全く国民性や雰囲気が異なったので驚かされました。もしも留学を考えている人がいるのなら、このことを念頭に置いてくれればなと思います。

 最後に、私の身勝手な留学を認めてくれた学科の先生方、サポートしていただいたグローバル教育推進センターの先生方、国際交流課の方々、奨学金を援助してくれた知の森基金に感謝を申し上げます。ありがとうございました。