中嶋 渉

英語圏以外で学ぶという選択肢

短期留学

中嶋 渉さん

教育学研究科 英語教育専修コース
留学種類:交換留学
留学期間:2014年9月~2015年6月
留学先:スペイン アルカラ大学シスネロス校

留学先大学について

私が留学したアルカラ大学は、スペイン最古の大学の一つであり、大学本部の建物は世界遺産に登録されている、長い歴史のある大学でした。シスネロス校は、日本でいう教育学部にあたり、幼児教育、初等教育の教員養成を目的とした学部です。それぞれにスペイン語コースとバイリンガルコースがあり、英語で開講されている科目が多く、私はバイリンガルコースで主に英語教育に関する授業を受講していました。また、ヨーロッパを初め、アメリカ、ロシア、アジアからの留学生も多く、国際色の強い大学だと言えます。大学のあるアルカラ・デ・エナレスはマドリッド郊外にある小さな街で、『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスの故郷として有名です。大学のキャンパスが林立する学園都市でもあります。

学習面について

上記のように、シスネロス校は教員養成の学校なので、教育学および指導法の授業が多い印象を受けましたが、もちろんそれだけではなく、地理、歴史、文化など教養的な授業も十分にあります。学生の英語のレベルは学年によってかなり差がありますが、4年生はTOEFL iBT70~80程度、人によってはそれ以上の実力があると思われます。日本の大学生とあまり差がない印象だった1年生が、4年間でそこまでの成長を遂げるのだと考えれば、この大学の教育水準の高さが窺えます。

生活について

私はシスネロス校の寮に暮らしていました。シャワーとトイレ、小さなキッチンがあり、ほとんどアパートで独り暮らしをしているのと変わらない状況だったように感じます。ホームステイをしている留学生がほとんどで、そちらの方が言葉の勉強になるのはもちろんですが、自分の時間をもって、生活をすべて自分で管理してデザインしてみたかったので、私には寮での暮らしの方が合っていました。シスネロス校の近くに大きなショッピングモールがあり、買い物にはとても便利な場所でした。旧市街まで行けば活気あふれるバルがたくさんあり、よく友人とサッカー観戦に出かけていました。マドリッドの都心までは電車で40分ほどかかりますが、電車の本数が多いので特に不便はありません。週末に限らず、授業が早く終わる日などに出かけることができました。

留学で得たこと

英語圏ではない第3国で英語を学ぶという体験ができたことが、最も大きな収穫でした。自分の英語力向上を考えると、英語圏に行くのがベストなのは否定できませんが、スペインだからこそ経験できたことは、自分が予想していた以上に沢山ありました。たとえば、言葉が全く分からない・伝わらないという体験をすること。スペイン語の勉強はある程度していきましたが、スペインに渡った当初は相手の言っていることがほぼ聞き取れませんでした。自分のことを上手く伝えることも出来ず、ただ生活するだけでも四苦八苦していた覚えがあります。しかしそれは、英語教師を目指す自分には必要な経験だったのです。自分が将来教えるだろう生徒の大半は、「英語なんてよく分からん」「苦手だし、嫌い」という生徒であり、英語が得意なつもりで生きてきた自分とは全く違った考えを持っているはずです。そうした生徒を前にしたとき、「言葉が全く分からない」という今回の経験が重要な意味を持ってくるのです。また、スペイン語と英語を比較したときに見えてくる面白さ、スペイン語と日本語を母語とする者同士が英語と言う共通のツールを用いて繋がることができる感動、それでも思うところを伝えきれないもどかしさなど、今後外国語を学んでいくうえで糧になる経験を積むことが出来たと感じています。

後輩へのアドバイス

私がスペインを留学先に選んだ一番の理由は、「よく知らない」からでした。私は留学するまで、言葉はおろか、そもそもスペインがどんな国なのかすら知らずにいました。「闘牛」「サッカー」「パエリア」「サグラダファミリア」・・・様々なフィルターを通してやっと届いた断片的なイメージがぼんやりとあるだけで、その背後にあるものは全くの未知、知る由もありませんでした。それらは大きな不安であると同時に、見方を変えれば楽しみな要素でもあります。今、日本にいては知りようもないことが、海を渡った先には山のようにあるのです。それらを実際に行って、見聞きし、触れて、自分の経験として帰ってくることが、留学する最大の意義です。そしてそれは、自分が実はよく知らない国に行けばより多くなります。私の専門は英語ですし、英語を学びたくて留学を決意しました。今の私の英語力は、もし英語圏に行っていれば、もっと高かったかもしれません。しかし行先をスペインにしたことに、一切後悔はありません。英語が世界の多くの国や地域で学ばれ、話されている現代だからこそ、第3国で学ぶという選択肢は十分にありえるものだと思います。