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ファイバー イノベーション・インキュベーター

ファイバーイノベーション・インキュベーター(Fii)設立の趣旨

我が国の産学官の各界から高い技術力を持つ多方面で優秀な技術集団を集結させ、自由闊達に国際的な視点で連携し、新産業の創出に資する先進技術開発・ビジネス発進を行うための施設としてFiiを設立し、もってファイバー産業及び関連産業の革新を進める。

背景

繊維学部講堂
(国登録有形文化財)

繊維学部の前身の上田蚕糸高等専門学校(官立)は、1910年に創設され、時代の流れに沿って発展した。戦後は、信州大学繊維学部として、繊維産業の変転に合わせて組織や研究教育分野を変容させ、近年では、感性工学分野を世界に先駆けて新設し、大学院も生命機能・ファイバー工学専攻とし、その歴史的背景を活かしながら、生命科学分野から物質科学分野を基軸にした製品工学分野まで、広範囲に展開している。

とくに、平成10年にCOE拠点形成プロジェクトに採択されて以来、3期15年にわたってCOE拠点としての活動を継続している。同拠点では、従来の繊維工学に先端科学技術分野を融合したファイバー工学分野を提唱し、先導的に研究教育を推進してきた。その結果、ファイバー工学関連の研究業績は世界で常にトップ1位から3位以内を保持し、その実績は国際的にも認知されている。

この間、国内では繊維系の学部は次々と一般工学分野に移行し、その結果、現在では本学部が我が国で唯一の繊維学部となった。国外に目を向けると、各国は繊維産業の重要性を勘案し、その保持発展を政策的に進めており、とくに、近年のグローバル化、アジア地域への生産拠点の局在化による自国内の生産拠点の弱体化に対する対策を加速している。こうした中で、本学部は繊維系の工学分野の教育体系を一新し、基盤的なファイバー産業技術の革新に国際的な視点から先導的に取組んでいる。

国際的には、繊維産業は常に成長産業としてその量的・質的な拡張を続けてはいるものの、いわゆる先進工業国では、経済のグローバル化と連動して、急速に生産拠点が開発途上国に移動しているため、新しい繊維系産業分野への展開を図っている。
加えて、開発途上国の科学技術人材の増加は中国一国でも我が国の10倍を優に超える勢いであり、その質的な向上も顕著である。知的財産権の登録件数も加速的であり、米国でさえもその量的増加、質的向上の爆発的成長に、科学技術・生産技術の優位性の保持と将来展望にすべての分野で強い懸念を示す有様となっている。

 

COE(Center of Excellence):卓越した研究教育拠点をいう。信州大学繊維学部は、次の3期15年にわたってCOE拠点として採択されている。

  • ・信州大学先進繊維技術科学研究拠点
    (文部科学省科学研究費COE形成基礎研究費、1998~2002年度)
  • ・先進ファイバー工学研究教育拠点
    (文部科学省21世紀COEプログラム、2002~2006年度)
  • ・国際ファイバー工学教育研究拠点
    (文部科学省グローバルCOEプログラム、2007~2011年度)

 

設置の必要性

我が国の衣料を中心とした繊維産業は既に統計からも明らかなように輸入産業であり、製品製造部門は海外に移転して久しい。昨今の経済危機によって、この傾向は加速しており、繊維素材部門自体の海外移転が加速している。これは、製造業の総体として基盤が変化していることを意味する。
繊維産業が多くの国内雇用を生み出す製造業として力強く展開するためには、ファイバー技術を先端分野に広く展開しながら、新たな「ファイバー産業」の創出に向かわなければならない。目指すべき方向は、高効率エネルギー活用技術、超高効率資源活用技術の開発を通じて、快適で安全な生活をもたらす高度な社会(医農工商融合の)技術に展開することであろう。これらは結果的に持続可能な人類のためのファイバー技術として、世界を先導することになる。

産業構造自体が先端的分野での熾烈な競争にシフトしていることを勘案すると産業の構造的な変化が追随していなければならない。長期的展望の下で粘り強く取組んできた素材分野における成果は着実な展望を持つ技術的な競争力をもっており、そうした技術科学の進展を中心にした衣食住すべてに関わるファイバー関連産業への革新が一つの鍵となる。
すでに、繊維産業は高度なメディカルデバイスやジオテキスタイルなど、いわゆる産業繊維(テクニカルテキスタイル)として着実な展開を見せており、この分野での競争が激しくなっている。世界的に見ても、繊維素材の石油依存性が供給面で将来的な懸念事項であることは衆知であるが、そのための科学技術政策的な視点をもった戦略的取組が急務である。すなわち、異分野融合による新たな産業創出・ビジネス形成が重要となる。例えば、環境負荷の少ない科学技術を駆使して繊維/ファイバー素材の競争力のあるテクニカルテキスタイル分野の開拓を進めなければならない。
一方で、加速的に増加している衣料産業としての繊維産業の必要性は自明であり、その重要性について疑念の余地はなく、過度な海外依存を避けるための技術開発拠点も必要である。この点では関連する技術の喪失、生産拠点の不安定性を回避する政策的な安全弁の確保も重要である。

ファイバー工学の一つの視点は、一次元(細くて長い)材料をテキスタイル(織編)技術で高次元化することでバルク(塊状)的な素材で達成できない物性を持つ製品を創出することができる点、加えて、大きい表面積を活用した高機能化製品が可能になることにある。こうした技術がナノファイバーを中核とするファイバー工学から生み出せるはずであり、超省資源(超低環境負荷)を満たしながら超機能各種デバイスの開発につなげることが可能である。
もちろん、多くの科学技術と高度な集積技術の開発が必要であるが、究極的にはこうした技術科学の確立と産業化を通じて、持続可能な社会が実現する。すなわち、国際的な産業競争力の源泉となりえるネオ産業革命を誘導する一つの工学分野(先進的なファイバー技術体系)を先導して構築することが必要である。

大学が中心となってファイバーを核とした産業分野と大規模に連携した取組を推進するFiiの例は、我が国では初めてである。米国等では既に数十年の実績をもち、世界の企業が集まる本格的な産学連携施設を大学の教員が運営している例もあり、その拠点が当該分野の国際的なハブとして先導している。
Fiiの取組も、海外の繊維系の大学からは"Most successful case!"として国際的にも注視されており、それ故に、繊維学部の海外ブランチオフィスの設置を始めとして国際連携が急速に深化している状況にある。海外拠点との10年に及ぶ地道な連携が醸成した信頼関係もさることながら、研究面でのポテンシャル維持に対する評価も連携先としての価値評価につながっている。我が国もFii等の施設を活用したファイバー技術の高度化と産業技術革新を、国際的なハブ機能とともに構築し、国内産業の活性化を推進する必要がある。

上記のようなファイバー工学分野の展開は、我が国の繊維産業が集積してきた高い産業技術の延長線上にあり、我が国のコアコンピタンスを形成する産業技術の根幹をなすものである。国際的に困難な激動期にある今こそ、匠の技を集積し、魅力的で重厚な我が国の企業群(技術集積産業群)を革新的に強化する場を産学官一体となって推進しなければならない。

そうした場を、Fiiは提供する。同時に、国際的な産業技術ビジネスモデル形成の場としての機能も有する従来にないネオファイバー産業を目指すことを基軸としたオープンなイノベーション発進(発信のみでなく)の場を、多方面の分野が一体となって、構築することを目指す。そのために、本拠点Fiiを設置するものであり、世界を先導して推進することは急務であると信ずる。

実施5項目

上記を実現するために、Fiiで実施しようとするところは、具体的に示すと以下の5項目となる。

  1. パイロット試作生産設備の設置
  2. 試作品性能評価システムの設置
  3. 学内人材(教員、技術員、学生、企業経験を有するコーディネーター)との有機的連携、多様(産産、産学、産学官)な共同研究の推進、個別開発研究の推進。大学と一体となった人材育成支援。
  4. 地域産学連携支援体制の活用(県、上田広域産業活性化協議会をはじめとする自治体、各種法人等)
  5. 国際的な情報ハブを活用した、事業展開の支援。(外郭の支援財団などからの支援、Fii固有のデーターベースを活用したコーディネーション事業(上田繊維科学振興財団を主体とする、各種申請事業への支援等)

当面、5年間の事業計画

上記5項目の詳細に関する整備を通じて、継続的な運営体制を確立する。上記の基盤となる以下の技術開発を、企業を中心とした研究開発チームによって推進する。

  1. 先端材料の製造・評価技術の確立
  2. それらの高次加工技術の確立に向けた産学官連携による開発研究推進
  3. 高機能化技術の集積と他分野への応用展開技術開発
  4. 商品化技術・戦略的ビジネス展開技術の推進

以上のような趣旨でFiiを設置いたします。
諸賢の、本拠点形成へのご賛同、ご支援を心よりお願いする次第です。

 

 

≫発起人・賛同者一覧(2010.11.1現在)(PDF)

 

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