信州大学HOME

english

Menu

お知らせ

お知らせ

応用生物科学科の塩見 邦博 准教授ら、カイコの休眠性を決定する脳の仕組みを解明

2020.12.22


塩見 邦博 准教授 (応用生物科学科) は、農研機構 生物機能利用研究部門の高須 陽子・瀬筒 秀樹・田中 良明の各氏、愛知学院大学 溝口 明 客員教授と共同で、カイコが温度の違いにより休眠性を決定する仕組みとして、脳内のコラゾニンとγ-アミノ酪酸 (GABA) 性神経伝達の階層的な制御があることを明らかにしました。これは、昆虫をはじめとする生物の環境応答機構における分子機構を解明とした貴重な成果であるだけでなく、蚕糸科学の分野において70年来の謎であった現象を解明した画期的な成果です。

この成果を本日、プレスリリースしました (資料)。なお、本研究成果を取り纏めた論文 "Maternal GABAergic and GnRH/corazonin pathway modulates egg diapause phenotype of the silkworm Bombyx mori" は日本時間の12月22日 5時 (米国東海岸時間 21日15時)、米国科学アカデミー紀要 (PNAS) 電子版に掲載されました。

(右図:カイコの休眠誘導の階層的なシグナル経路)
カイコのメス成虫は、自身が卵の時期に25℃にさらされれば休眠卵 (産卵後60日経っても孵化しない) を、15℃にさらされれば非休眠卵 (産卵後10日程度で孵化) を産卵するようになります。自らだけでなく次世代個体の適応度をあげる季節適応は「予知的適応応答」と呼ばれる環境応答現象ですが、その分子機構の詳細は不明なままでした。塩見准教授らは今回、休眠卵を産む個体における蛹の時期の休眠ホルモン放出が、脳が生産するコラゾニンという神経ペプチドによって促進されることを明らかにし、さらにその上流にはコラゾニン放出を支配するGABA作動性の神経伝達経路が存在することを突き止めました。

  • 大学院の教育
  • 教員一覧
  • 特色ある取り組み
  • 企業・一般の方へ
  • 在学生の方へ
  • 保護者・卒業生の方へ