
一般の病院にはない、大学医学部附属病院の大きな特色は研究です。従来の治療法に限界を感じたとき、これを打破することが出来るのは唯一研究しかありません。世界的にスタンダードな教科書、up-to-dateな論文を読むことは大変重要なことです。しかしながら、大学で働く大学人はそのような教科書や論文を読む受信者だけではなく、それを送り出す発信者になることが出来るのです。これは大学人の使命であり義務でもあります。
若いうちから世界のトップレベルの研究室に留学できる、というのも当科の大きな特徴です。ありきたりな言い方ですが、学問には国境がなく、仕事を通してどこにでも行くことができます。海外に留学し、海外の研究者たちとディスカッションし、研究成果を発表することにより大きな自信と達成感が得られます。終生の師や友人を得ることがあるかもしれません。海外での留学生活は必ずや人生の財産となるでしょう。ぜひ当科に入局して海外に羽ばたいてください。
I. 生体リズムを司る核内受容体Rev-erbαの発現調節メカニズムの解析
時計遺伝子のひとつであり、生体リズムを支配しているRev-erbα遺伝子の発現調節メカニズムを解析しています(図1)。
II. Leptin受容体の筋形成に対する役割
摂食行動を司るホルモン様ペプチド、レプチンの受容体(Ob-R)がゼブラフィッシュの初期発生において体節形成や筋形成に影響を与えることを明らかにしました(図2)。
III. エストロゲン受容体(ER)とインスリンプロモーター
我々はERがエストロゲン依存的にインスリンプロモーターの転写を抑制するという結果を得ました。この結果を踏まえ、分子生物学的にそのメカニズムを解析しています。
2003年よりフランスに留学してゼブラフィッシュを用いてホルモン受容体と生体リズム、メタボリック症候群をテーマに研究しておりました。帰国後は渡仏前のテーマであったIIIをなんとかまとめたいと思っております。