ご挨拶

樋口 京一
Keiichi Higuchi

信州大学
バイオメディカル研究所神経難病学部門
医学部医学科加齢生物学教室
大学院総合医理工学系研究科生命医工学専攻

加齢生物学教室のホームページにようこそ!
私たちの教室の名称は少々複雑で、医学部医学科と先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所の両方に所属しています。大学院は総合医理工学系研究科生命医工学専攻に所属しています。
なぜ動物は老化するのか? 老化は生物にとって有益なのか? などが老化のWhy? であり、どのよう仕組みで老化し、老化に伴いどのような生理的変化があらわれるのか?などが老化のHow? です。私が老化の研究を始めたのは40年ほど前で、その当時は、老化の科学的専門書も、老化を研究する研究者も、高齢者を専門に治療する老年科もわずかでした。生物の発生は遺伝子で厳密にコントロールされているが、老化は繁殖の終わった生物の余生(燃えかす)で、遺伝学、生物学、医学の研究対象にはならないとも考えられていました。そんな状況でしたが、私の研究は老化が早くて寿命が短い老化促進モデルマウス(SAM)の開発にはじまり、その中でマウスの老化に伴い沈着する「老化アミロイドーシス」を発見しました。私たちの教室ではSAMなどのモデル動物を用いて、老化と老化関連疾患のWhyとHowの解析と予防や治療法の開発、特にアミロイドーシスの病態の解明を目指した研究を行っています。この40年間に、老化研究は大きく発展し、特に最近ではその重要性がますます認識されています。アポトーシス、アルツハイマー病、長寿や促進老化の遺伝子の発見、さらに最近では細胞老化機構、慢性炎症、オートファジー、細胞やミトコンドリアの代謝調節など、大変重要な老化機構が明らかになってきました。しかし老化と老化関連疾患のWhyとHowの解明や、その予防法は、まだまだ達成できていません。
私たちは、森政之准教授、宮原大貴助教を中心にして、動物モデルを使った老化関連疾患の発症に関与する遺伝的要因の解析や、supplementによる予防効果の解析、アミロイドーシスの発症から予防までの総合的な解析を行っています。

略歴

1978年
京都大学農学部卒
1984年
京都大学大学院医学研究科修了(医学博士)
1984年
京都大学結核研究所 助手(病理学)(〜1989年)
1986年
アメリカ合衆国国立衛生研究所(NIH)
心肺血液研究所分子病分野Visiting Fellow(〜1988年)
1989年
京都大学胸部疾患研究所 講師(老化生物学)(〜1998年)
1998年
信州大学 教授(医学部付属加齢適応研究センター)
2012年
信州大学大学院医学系研究科疾患予防医科学系専攻 加齢生物学分野教授
2019年
信州大学先鋭領域融合研究群 バイオメディカル研究所 神経難病学部門 教授

主な専門分野

加齢生物学、アミロイドーシス

所属学会

  • 日本基礎老化学会
  • International Society of Amyloidosis
  • 日本病理学会
  • 日本実験動物学会
  • 日本臨床ストレス応答学会
  • 老化促進モデルマウス(SAM)学会