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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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こんなことしています(研究)

「同時代史」とは何か、を考えたこの10年

同時代史研究会2011年 大会

同時代史学会が世に問うた仕事

  2011年12月10日,東京・専修大学において「同時代史学会 年次大会」が開催されました。前の日は松本でゼミなので,午前の部には間に合わず,午後の部からの参加となりました。   「同時代史学会」は,2002年4月に開催された「サンフランシスコ講和50周年を考える」を創立準備大会とし,同年12月シンポジウム「同時代史のなかの戦争」をもって創立大会としました。ということは,来年で10周年を迎えることになります。松本に暮らしているので日常的な活動にはあまり参加できませんでしたが,私も「よびかけ人」に名を連ね,2003年度大会では報告をさせてもらい,さらに学会機関誌『同時代史研究』創刊号(2007年)から第4号(2011年)までの編集を担当させてもらいました。  「設立趣意書」は「同時代史学会」の進むべき理念を次ぎのように記しています。    同時代史学会は,その志において,日本を主たる対象としつつも世界に向けて開かれ,専門性を尊重しつつ市民に向けて開かれ,過去を見据えつつも未来に開かれていなければ ならない。それは容易なことではない。しかし,そうした絶え間のない試みのなかから,私たちは初めて,同時代史をともに学ぶ〝知の交歓の場〟を創出することができるであろう。  午後の部では,「知のトランスナショナル・ヒストリー」として,パグウォッシュ会議と日本知識人の核抑止論批判,「従軍慰安婦問題の20年」,新自由主義とは何か?といったテーマに即した報告が行われました。戦後日本を再考する方法として「知のありかた」-あるいはその「開かれ」方・その方向性-,提起した刺激的なものでした。  ちなみに,現代史料出版から刊行されている『年報 日本現代史』も2011年に第16号を迎えました(1995年創刊号)。現代史を専門とするジャーナルは充実してきています。一方,地域における同時代史あるいは現代史研究の現状を把握することは難しく,また民間の歴史研究者もふくめ地域同時代史・地域現代史の「ひろば」はまだ創られてはいないでしょう。長野県現代史研究会も,私自身が忙しくなってしまい「開店休業中」です。しかし,名古屋の近現代史研究会活動を続けています。いわゆる地方大学の関係者が多く理事に就任しており,また関西部会の活動も始まっています。  同時代史学会創立10年,地域社会のゆくすえが議論されるなかで,「開かれ」つつも,どのような地域同時代史・現代史を創造していくか,1つの正念場に差し掛かっているのかもしれません。  久しぶりに日本近現代史ゼミを卒業した友人の加藤さんに会いました。元気でなによりでした。

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