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おおぐし じゅんじ

大串 潤児

歴史学 教授

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長野県教育研究集会 2011秋 先生方との対話

集会会場近くの手長神社・奉安殿もありました。

  2011年11月5,6日、諏訪市において「2011年度 長野県教育研究集会」が開催されました。私も第19分科会「人権・平和と国際連帯の教育」に共同研究者として参加させていただきました。   私は、問題提起で、(1)この分科会において人権尊重の意識を「阻むもの」が何に、どのような社会の在り方に設定されているのか、(2)2010年代の国際連帯・国際理解を考える際、どこの地域・国をとりあげ、どのような主題をテーマとして設定するか、(3)東日本大震災をうけとめ、戦後教育が作り上げてきたさまざまな価値観(「人権・平和・連帯」)の中味を、自己反省的に問い直す必要があるのではないか、と述べました。  

  人権教育では、小学校―中学校を通じて「自尊心をいかに育むか」ということが中心に議論されました。「人権」の基礎に、「ひとの尊厳を認めあうこと」があるとすれば、各種アンケート調査によっても明らかな日本の子どもの「自尊感覚の低下」は深刻な問題でしょう。ただし、「自尊心」が「社会関係」に結びつけられないで議論されることには注意が必要だと思います。   平和教育では、「満州移民」「満蒙開拓」および帰国者の戦後史を中心に取り扱う実践が多く、長野県の教育研究集会ならではの議論となりました。いずれも、戦争非体験世代がどのように戦争を伝えていくかを問題意識としていました。戦争非体験世代であるとの自覚をどれだけ主体的に深め、そのなかで自分が経験した戦後の‐あるいは現代の戦争‐とのかかわりを問題として再構成したりする努力、あるいは戦争教育ではなく「平和」を創造してきた努力にも視野を広げたテーマ設定が必要かと思いました。   国際連帯をめぐる教育実践からは、飯田下伊那地域・上田地域の学校・地域における「外国に由来持つ子どもたち」のすがたと教育をめぐる現状が報告・討論されました。ブラジルに由来をもつ子どもたちの教育困難と行政的援助の持つ問題性、またそうした子どもたちは流動性が高いというグローバル化と地域社会の問題といったさまざまな論点が出ました。   報告のなかには原発問題を扱った実践報告もあり、この実践は単年度ではなく来年度への課題として受け止めなければならないと思いました。福島第1原発周辺地域の人びとはいつになったら安心した暮らしを取り戻せるのか。人びとにとって「安心した暮らし」はどのような条件のもとで形づくられるのか。「難民の世紀」ともいわれる20世紀、満州移民という「故郷から離れて暮らさざるをえなくなった人びと」を多く生みだしてしまった長野県の経験ならではの問題提起が来年度に向けてできればよいと思いました。

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