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いいおか しろう

飯岡 詩朗

英米文学 准教授

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雑記

それでも雑誌は不滅です?

zassi.jpg日 本のテレビ研究(厳密に言うと、日本で放送されているテレビについての研究)がどの程度進んでいるのかはあまりよく知らないのですが、どのようなテーマを 扱うにせよ、どのようなアプローチをとるにせよ、いまやナンシー関のテレビ時評をまとめた本が日本のテレビを研究する者(大学生から研究者まで)にとって 必読書であるように、日本の雑誌を研究する者にとって、中沢明子の『それでも雑誌は不滅です! 愛と怒りのマガジン時評100』(朝日新聞社, 2009年)は必読書です。

おくっていただいたばかりでまだちゃんと読んではいないのですが、この本のもととなる『AERA』での雑誌時評の連載「マガジン百名山」は、連載当時毎回読んでいたので断言しますが、当時の『AERA』の数少ない毎回読む価値のある連載でした。

良い意味で軽薄な語り口を持ち味としながら、単なる悪口や揚げ足取りでない急所を突く真の批評は、当の雑誌の作り手たちに大いに刺激を与えていたこ とでしょうし(単に怒らせていただけの可能性もありますが)、雑誌の批評を通して私たちが生きているのがどのような時代であるのかについても多くを教えて くれました。

とくにこのブログを読む可能性の高い学生に向けて言うと、マスコミ、とくに出版志望の学生は、この本をすり切れるほど熟読し、さらには、同じ著者の 単行本になっていない雑誌記事を大宅壮一文庫や雑誌を扱っている古書店でかき集めて熟読すると、就活マニュアル本も何冊読むよりも実践的な力がつくでしょ う。もちろん、単に雑誌を鮮やかに「切る」ためにこの本から「辛口」だけを学び、実際にたくさんの雑誌を手に取って自分で読んで考えないのでは、単なる口 だけの学生だと面接段階で確実に見破られるでしょうけれども。

持ち上げてばかりではなんなので、少しだけ苦言(?)を言うならば、「それでも雑誌は不滅です!」というタイトルは、無類の雑誌好き(雑誌バカ)の 著者自身の本当の願いでしょうし、出版業界の本当の願いでもあるのでしょうが、この本の実際の内容からするとあまりに軽く、能天気にも思えるので、地味で も『雑誌愛』(シネマテーク・フランセーズの創設者アンリ・ラングロワの評伝『映画愛』にならって)とか『雑誌道』とかした方がよかったのではないでしょ うか。

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