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いいおか しろう

飯岡 詩朗

英米文学 准教授

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コミュニティシネマ

松本映画祭がやって来る!

第1回松本映画祭(主催:深志同窓会)が9月30日から10月9日にかけて松本市内各所および山形村のアイシティシネマで開催される。

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——のだが、あまり知られていないようだ。

地元メディアではちらほら取り上げられてはいるようなのだが、上のポスターも街中でほとんどみかけないし、チラシにいたっては、上映会場の1つでもある映画館のエンギザでも見かけない。(そもそも作られてすらいないのだろうか?)さらに悪いことに、ウェブ上に公式HPもなく、情報をかろうじて入手できるのは、深志高校同窓会のお知らせのページくらいである。
深志同窓会主催で「深志高校創立130周年記念」と銘打たれた映画祭であるだけに、深志高校同窓生に動員がかけられるのだろうとは思うのだが、思いのほ か規模が大きくて入りが心配であるし、スクリーンで見ることがなかなか難しい作品も含まれているので、(直接かかわってはいないのだが)ここで紹介/応援 したい。
残念ながら、初公開作品や、先行上映作品や、ニュープリントは含まれていないのだが、特に以下の3本は、少なくとも長野県内ではスクリーンで見る機会が今後もほとんどないと思うのでおすすめである。

1)『日本女侠伝 激斗ひめゆり岬』(1971・東映)
10月1日(日)13:00〜 会場:深志教育会館

2)『キューポラのある街』(1962年・日活)
10月3日(火)18:30〜 会場:エンギザ

3)『ウエスト・サイド物語』(1961年)
10月4日(水)19:00〜 会場:アイシティシネマ

『日本女侠伝 激斗ひめゆり岬』は「緋牡丹博徒」シリーズに続く藤純子主演の「日本女侠伝」シリーズの第5作で、物語の舞台は返還前の沖縄。菅原 文太も出演している。東京であれば、京橋のフィルムセンターや浅草名画座で見られる機会もあるかもしれないが、長野県内では、「藤純子映画祭」でも開催さ れないかぎりスクリーンでは二度とみることはできないだろう。
『キューポラのある街』は世代を問わず誰もがタイトルは耳にしたことがあるに違いないほど有名な作品だが、やはり長野県内ではこの機会を逃すとスクリー ンでは二度とみることはできないだろう。説明するまでもないが、浦山桐郎(監督・脚色)と今村昌平がタッグを組んだ在日問題も取り込んだ社会派メロドラマ で、デビュー間もない吉永小百合が輝きを放っている。
唯一の洋画として『ウエスト・サイド物語』がなぜ選ばれたのかは不明だが(ポスターにあるように「青春の思い出作品」ということか?)、ともあれ、もと もと70mmで取られたワイドスクリーンの作品(今回の上映は70mmではないはず)であるから、ぜひとも映画館のスクリーンで見ておきたい。10月20 日−21日には、まつもと市民芸術館でブロードウェイ・キャストによるミュージカル公演も行われるので、公演に行く人には予習としてもよいだろう。
以上の3作品をのぞくと比較的新しい作品が多いが、その中では、文句なく古厩智之監督の『ロボコン』(2003年)をおすすめしたい。ロボコン(ロボッ トコンテスト)出場を目指す工業高専のロボット部を舞台にした青春映画なのだが、古厩監督の演出の手腕によって、長澤まさみが現在公開中の『ラ フ』(2006年)も含め彼女の全出演作中で最高の演技を見せているからである。(とりわけトラックの荷台にのって海へ向かうシークェンス・ショット!)

全国各地で、おもに経済的な理由で中止や規模縮小が続く中、あらたに地方都市で映画祭を立ち上げることが冒険であるのは間違いない。松本映画祭の 第1回の上映作品のプログラムが冒険にふさわしい魅力的なものであるのかどうか——それはひとまず問わずにおこう。というのは、いずれにしても、松本が もっと「映画の街」になるためには、映画祭があってもいいのは間違いないからである。そして、より魅力的な第2回の開催へと繋げていくには、主催者側での プログラム上の工夫ももちろん必要だが、何より必要なのが深志高校同窓生以外の観客の来場と〈声〉であるのもまた間違いないのである。

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