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いいおか しろう

飯岡 詩朗

英米言語文化 教授

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コミュニティシネマ

「運動」としてのコミュニティシネマ

JCCC.jpg 松本を中心にコミュニティシネマの活動を展開している松本CINEMAセレクトが間もなくNPO法人として認証されようとしているが、そもそも、〈コミュニティシネマ〉とは何なのか?
「"コミュニティシネマ" の設立やその活動を支援し、ネットワークを形成して、この活動を推進していくための組織」(事務局は、財団法人国際文化交流推進協会(エース・ジャパン))であるコミュニティシネマ支援センターの ウェブサイト(左写真)での定義によれば、「映画祭や自主上映団体、美術館やフィルムライブラリー、公共ホール、自治体、学校、地域の映画館(ミニシア ター)など、地域の映画・映像文化を担う組織が中心となって構成される非営利団体で、地域における豊かな映画環境を創造することを目指し、地域に根ざした 上映活動や上映に関わる事業を継続的に行」うのが〈コミュニティシネマ〉ということになる。
乱暴に噛み砕いて言えば、「豊かな映画環境を創造することを目的とする地域に根ざした上映活動等を行う非営利団体」が〈コミュニティシネマ〉ということ になるだろうが、〈コミュニティシネマ〉の存在意義を広く認知してもらうには、こうした狭い意味にとらわれずに、もっと広い意味で〈コミュニティシネマ〉 をとらえていくこと、単純に言い換えれば、〈コミュニティシネマ〉を「団体」としてではなく、「運動」としてとらえていくことが必要だろう。(もっとも、 ウェブサイトでは明言されていないが、コミュニティシネマ支援センターも〈コミュニティシネマ〉を「運動」としてとらえているのは間違いない。)
なぜ〈コミュニティシネマ〉を「運動」としてとらえる必要があるのかと言えば、〈コミュニティシネマ〉が目指す「地域における豊かな映画環境の創造」 は、〈コミュニティシネマ〉の「団体」だけでは到底実現不可能だからである。それは「団体」以外の官民による協力もあってはじめて実現できる(可能性が出 てくる)ものなのである。実際、松本CINEMAセレクトの活動も、松本市中央公民館=Mウィング(官)やピカデリーホール(民)、そして何よりエンギザ(民)の協力に支えられている。
つまり、「AかBか」ではなく「AもBも」という欲深さが必要なのだ。だから、「『ナルニア国物語』か『アワーミュージック』か」という問題設定も、 「シネコンか(非営利の)自主上映か」という問題設定も、間違いである。自主上映団体であろうとNPO法人の(狭義の)〈コミュニティシネマ〉であろう と、「地域における豊かな映画環境の創造」の実現のためには、シネコンとの「連帯」も恐れてはならない。

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