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いいおか しろう

飯岡 詩朗

英米言語文化 教授

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コミュニティシネマ

松本がもっと「映画の街」になるために

sekai.jpg 多くの地方都市で街中の映画館が閉館し、それに代わり、(車がないと不便きわまりない)郊外のショッピングモール内にシネコンが開設されている。細かい数 字は把握していないが、スクーンの数自体は増えているという地域も少なからずあるだろう。しかし、スクリーンの数の増加は、必ずしも映画環境の豊かさに直 結しない。
というのも、シネコン(何をもってそう定義するかにはよるものの)のほとんどは、大手の映画(配給)会社の系列館であり、結果的にそこにかかる映画のほ とんどが大作映画かスター映画(もちろんそうした映画が悪いということでは毛頭ない)であり、大都市圏のいわゆるミニシアターにかかるような映画(もちろ んそうした映画がすべて良いというのでもない)を見ることができない。
ますますシネコン化(=貧困化?)する地方都市の映画環境を、もっと多種多様な映画を上映することを通して豊かにしようという活動がコミュニティシネマの活動のうち主要なものだと言ってよいだろう。そうした活動を松本で行っているのが松本CINEMAセレクトである。
2-3月も、ジャジャン・クーの『世界』(2月18日)、ジャン=リュック・ゴダールの『アワーミュージック』(3 月10日)と、作られた場所(前者は中国、後者はフランス/スイス)も、監督の世代(前者は30代、後者は70代)も大きく異なるものの、映画の〈現在〉 を感じることのできるけっして見逃してはならない作品の上映が続く[左はチラシ]。どちらも、放っておけば松本のスクリーンにかからなかった作品である。

4月以降も続々と注目作の上映を予定しているセレクトだが、3月上旬にようやくNPO法人として認証される予定である。それを記念して、「街づくりと映 画を考えよう」という講座(イヴェント)が開かれる(主催:NPO法人コミュニティシネマ・松本CINEMAセレクト)。以下のように、コミュニティシネ マ(コミュニティ=街と映画の関係)をめぐるシンポジウム(+上映会)と映画上映者養成講座の2本(上映会を含めると3本)立てである。
後半の「映画上映者養成講座」はその名前から内容がとても限定的に感じられるかもしれないが、「オルタナティヴ上映概説」と「日本映画興行史」(ともに 25日)は、日本の(大衆・民衆の)文化史に関心のある人にもおすすめである。しかも、受講料は両日=6コマで1500円だから、1コマ=90分あたり 250円(!)という破格の安さである。
スケジュールや申込方法など、詳しくはチラシ[pdfファイル]をみていただきたい

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NPO法人コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト設立記念企画
「講座・街づくりと映画を考えよう 映画上映者養成講座 in 松本」

1)映画上映とシンポジウム 3/12(Mウィング)※参加料:500円

11:00-12:10
映画上映「鴛鴦歌合戦」(1939年・マキノ正博監督作品・69分)

13:30-16:30
a)松本地域の映画状況についての報告
b)全国のコミュニティシネマの現況報告
岩崎ゆう子(コミュニティシネマ支援センター事務局長)
c)記念シンポジウム「地域の振興・映画の振興」
パネリスト(予定):
佐伯知紀(文化庁芸術文化課・芸術文化調査官/映画史家)
堀越謙三(ユーロスペース・NPO法人映画美学校代表/プロデューサー)
前澤哲爾(全国フィルムコミッション連絡協議会専務理事)
渡辺弘(まつもと市民芸術館プロデューサー・支配人)
司会:宮崎善文(コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト代表)

2)映画上映者養成講座 3/25~26(Mウィング4-4)※受講料両日:1500円

3/25(各講座90分)
13:00-18:00(14:30-14:45、16:15-16:30は休憩)
a)「オルタナティヴ上映概説 興行と非興行、上映の様々な形態」
講師:大久保賢一(映画評論家)
b)「映画の諸権利と著作権」
講師:内藤篤(弁護士・シネマヴェーラ渋谷館主)
c)「日本映画興行史」
講師:佐伯知紀

3/26(各講座90分)
10:30-12:00
a)「上映企画の種類と批評性」
講師:村山匡一郎(映画評論家)
13:00-16:15(14:30-14:45は休憩)
b)「コミュニティシネマとは何か」
講師:岩崎ゆう子/宮崎善文
c)「宣伝戦略とは何か」
講師:梶谷由里(パブリシスト)/宮崎善文

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