教員紹介

はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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中国関係

杭州便りその16

富陽

孫氏宗祠(先祖をお祀りする場所)

「杭州便りその8 呉菊萍に学べ」に、間違ったことを書いていました。「杭州郊外の富陽という街」で転落事件が起きたと記していますが、事件は杭州の市街地で起きていて、「富陽」は呉菊萍さんが入院していた病院の所在地でした。ほとんどの人にとってはどうでもよい話かも知れませんが、ここに謹んで訂正しておきます。  さて、その「富陽」に行ってきました。中国の行政区画はややこしいのですが、「杭州市」のなかに「富陽市」があります。以前は「富陽鎮」でしたが、発展に伴い「市」を名乗るようになったようです(しかし、杭州市から独立はしていない)。杭州の市街地から南西の方向、車で1時間ほどの距離にあります。ここは、中国近代の文学者・郁達夫の出身地であり、彼の故居もありますが、主たる目的地は「龍門古鎮」。何でも三国時代の英雄・孫権の子孫たちが住んでいる古村のようです。

龍門古鎮

高山好水

10年以上も前に、温州市で開催された学会に参加したことがあり、その際、親友の教え子の院生さん(以下、Y君)がずっと付き添ってお世話をしてくれました。その時以来、Y君とは付き合いがあるのですが、その彼が、4月にこちらに着いてすぐ「どこか行きたいところがあれば車を出しますよ」と言ってくれました。その時にふと、日本の旅行ガイドブックにも載っていた「龍門古鎮」のことが頭に浮かび、何気なくその名を出しました。  そのY君は、もちろん既に院生ではなく職に就いており、毎月のように彼から「先生、すみません。仕事が立て込んでいて、なかなか時間が取れません」と短信が届き、何だか悪いことを言ったなあと思っておりました(中国の研究者はみな本当に忙しそうです。今や中国は「ストレス社会」であり、これが15年前との最大の違いだと思います)。先日、やっと双方の都合がつき、龍門古鎮に行くことができました。

獅子の木彫り

 行ってみると、山と古建築との対比がとても素敵な場所でした。中国の古鎮には必ずと言って良いほど中央に池があり、これは生活のためでもあり、風水のためでもあるようです。龍門古鎮のそこは、ちょっと綺麗にしすぎている感もありましたが、そこに立つだけで心落ち着く魅力は確かにありました。  さて、入場料を払って入るとは言え、そこは今でも生活の場所です。写真の撮影は遠慮しましたが、皆さん、道ばたで内職をされていました。バトミントンのラケットに手作業でネットを張っている人がやたら目につき、ここの「特産品」なのかなと不思議に感じました。ちなみに、入場料もお昼ご飯代もY君が払ってくれました。まったく、彼の車に乗せてもらい、彼におごってもらうことになるとは・・・。時代の流れ、社会の移り変わりを実感しました。Y君、ありがとう、次はおごるからね(中国では「割り勘」などという野暮なことは基本的にあり得ません!)。

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