信州大学

先端産業を支えるファイバー工学

 日本の繊維産業の平成16年度工業出荷額は60兆円に達しているが、その中身は先端繊維(高機能繊維)にシフトしており、日本が技術的にも産業的にも世界のトップを走っている。繊維科学技術は、経済産業省重点産業16分野の一つである「繊維産業」の中核をなし、国の科学技術重点4分野とされるライフサイエンス、情報通信(IT)、環境、ナノテクノロジーの全てに深く関連し、ファイバーと関連する基幹産業の発展に貢献でき、社会的意義も大きい。

さらに、平成18年11月に開催された総合科学技術会議(首相他主要閣僚が参加し、日本の科学技術の指針を示す会議)において「ナノテクで紡ぐ高機能繊維」が取り上げられ、平成19年4月に作成された経済産業省の「技術戦略マップ2007」(これから10年間程度に国が戦略的に重点をかける分野を選択し、その技術マップを示したもの)に新たに「ファイバー(繊維)」が先端基盤技術として加えられた。このように、国の施策としても「ファイバー」が見直され、世界を技術的にリードする「ファイバー工学」の進展が強く望まれている。