2008年4月〜:
信州大学 ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点助教(特定雇用)
2003年10月〜
2004年3月:
東京大学大学院数理科学研究科(研究生、日本語の勉強のため)
2005年3月:
東京大学大学院数理科学研究科 修士課程 修了
2008年3月:
東京大学大学院数理科学研究科 博士後期課程 修了
確率解析の理論は日本数学者伊藤清によって1942年に創始されたものです。それから約半世紀が経ち、今では、統計力学, 場の量子論、工学、経済学、海洋学、集団遺伝学など種々の分野にわたって用いられています。
世の中には確実的な現象だけではなく、ランダムな自然現象や社会現象が多く存在します。たとえば、株価の不規則な変動、交換台にかかってくる電話の回数、出生死滅を繰り返す人類の個体数。これらの様な不確実性を含む現象を考察するために確率解析の手法が導入されました。
私は主に確率微分方程式を研究してきました。一言でいえば(有限次元あるいは無限次元)確率微分方程式とは、ランダムな揺らぎ(ノイズあるいは雑音と呼ばれる)を持つ(有限次元あるいは無限次元)微分方程式のことです。特に、無限次元確率微分方程式の解の存在と一意性およびその解の不変測度、エルゴードや大偏差原理に興味を持っています。主には確率熱方程式、確率波動方程式、確率Burgers方程式の研究を行ってきました。
信州大学において導入されたテニュアトラックシステムでは、スタートアップ経費や自立的研究スペースを確保することができ、また、自立できるような研究環境が整備され、海外出張の機会も設けており、若手研究者に対しては極めて珍しく魅力的な制度であると思っています。さらに、外国人若手研究者に日本語学習支援を用意し、十分な日本語のコミュニケーション力を習得する機会を設けていることに対しては大変素晴らしいと思っています。
これからは日本語にさらに磨きをかけ、確率解析、特に確率偏微分方程式をレベルの高く独創的な研究に遂げることができるよう精一杯頑張りたいと思っています。テニュアトラック助教としては研究だけではなく、教育活動にも自らの力を生かし、努力したいと考えています。