1993年4月〜
1996年 3月:
三菱電機株式会社 伊丹製作所
1998年4月〜
1999年3月:
理化学研究所 生体ミメティックセンサー研究チーム ジュニアリサーチアソシエイト
1999年4月〜
2000年3月:
神戸大学 大学院自然科学研究科 研究生
2000年4月〜
2007年3月:
公立はこだて未来大学 システム情報科学部 助手
2007年11月〜:
信州大学 ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点 特任助教
神戸大学 大学院理学研究科 修士課程(地球科学専攻)1993年修了
神戸大学 大学院自然科学研究科 博士後期課程(知能科学専攻)1999年修了 博士(理学)
Best Paper Award in CASYS ‘98(1998年)
Best Paper Award in CASYS ’05(2005年)
下等動物の知能に興味があります。人間の知能とは、環境を自分に合うように改変する能力です。一方、下等動物の知能とは、自分を改変して環境と調和する能力です。私は下等動物の知能の解明へ向け、オカダンゴムシをモデル生物とした行動実験を行ってきました。最近の実験では、この動物が忌避する水で囲まれた環状通路を用意し、その中央に小さな障害物を数十個配置して、個体を放置しました。視覚の乏しいこの動物は、歩みを進めるたびに水へ接触してしまうため、当初は障害物を迂回しつつ通路上を逃げ惑いましたが、しばらくすると、障害物に出会うと高頻度で乗り上がり、数個を伝い歩くこともありました。これらの行動は、通路を壁で囲った場合には現れませんでした。この結果より、オカダンゴムシは、触角を用いて水や障害物の配置を知り、水から遠ざかるためにわざわざ障害物に乗り上がったと考えました。本テニュアトラックシステムでは、個体を自動で追尾撮影するシステムを用いてこの実験中の触角運動の詳細な解析を行い、乗り上がりの発現に関与する触角運動様式を明らかにします。この研究を皮切りに、触覚を主な空間認知の手段とする下等な動物に備わると予想される、局所性の触覚から大域性の空間認知を可能にする未知の神経機構の解明を目指し、下等動物の知能の解明に迫ります。
オカダンゴムシにおける、局所的な触角入力から大域的な外界の認知を司る神経機構を解明するための神経生理学的研究、および、その機構の数理モデルの構築を目指す数理・計算機科学的研究を立ち上げたいと考えています。これらの研究は、精巧なダンゴムシロボットの製作に繋がると期待されます。そして、その過程で、常に下等動物の知能とは何か、彼らに心はあるのか、そして心とは何か、という科学の最大の問題を考え続けていきたいと思います。