若手研究者紹介

プロフィール

橋本昌征
Masayuki HASHIMOTO

研究分野:
微生物遺伝学、ゲノム工学、応用微生物学、微生物生態学
キーワード:
細菌ゲノム、大腸菌、枯草菌、緑膿菌、乳酸菌、環境微生物
連絡先:
〒386-8567 長野県上田市常田3-15-1
信州大学繊維学部
E-mail: hash[at-mark]shinshu-u.ac.jp



職歴:
2000年:
生物系特定産業技術研究推進機構 派遣研究員 (派遣先:静岡大学)

2002年:
協和発酵工業株式会社 嘱託研究員 (嘱託先:東京都立大学)

2002年:
東京都立大学 大学院 理学研究科 研究支援者

2005年:
首都大学東京 大学院 理学研究科 客員研究員

2005年:
信州大学 ヒト環境科学研究支援センター 遺伝子実験部門 助手


2007年 :
信州大学 ヒト環境科学研究支援センター 遺伝子実験部門 助教

2007年:
信州大学 ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点 助教


学歴:
1994年:
新潟大学 農学部 農芸化学科 卒業

1996年:
新潟大学 大学院 農学研究科 修士課程 修了

2000年:
新潟大学 大学院 自然科学研究科 博士後期課程 修了


主な論文・解説:
  • Kato, J., and Hashimoto, M. Construction of consecutive deletions of the Escherichia coli chromosome. Mol. Syst. Biol. 3: 132
  • Hashimoto, M., Ichimura, T., Mizoguchi, H., Tanaka, K., Fujimitsu, K., Keyamura, K., Ote, T., Yamakawa, T., Yamazaki, Y., Mori, H., Katayama, T., and Kato, J. (2005) Cell size and nucleoid organization of engineered Escherichia coli cells with a reduced genome. Mol. Microbiol. 55: 137-149.
  • Hashimoto, M. and Kato, J. (2003) Indispensability of the Escherichia coli carbonic anhydrases YadF and CynT in cell proliferation at a low CO2 partial pressure. Biosci. Biotech. Biochem. 67: 919-922.
  • Hashimoto, M., Fukui, M., Hayano, K., and Hayatsu, M. (2002) Nucleotide sequence and genetic structure of a novel carbaryl hydrolase gene (cehA) from Rhizobium sp. AC100. Appl. Environ, Microbiol. 68: 1220-1227
  • Hashimoto, M., Ikegami, T., Seino, S., Ohuchi, N., Fukada, H., Sugiyama, J., Shirakawa, M., and Watanabe, T. (2000) Expression and characterization of the chitin-binding domain of chitinase A1 from Bacillus circulans WL-12. J. Bacteriol. 182: 3045-3054

研究紹介

 バクテリアのゲノム解析が初めて報告から十数年が経ち、いまでは数千のゲノムプロジェクトが行われている。これによって遺伝子工学がゲノム工学へと大きく発展してきた。そこで私は、以前に大腸菌で行った網羅的な欠失株群の作製を有用微生物などに応用することを目指している。これによって、その微生物の必須遺伝子を知ることができ、その微生物の基本的な生命システムを解析することができる。一方、得られた網羅的欠失株をライブラリーとして利用することで、これまでスクリーニングすることが難しかった有用遺伝子を探索することができるようになり、得られた情報をフィードバックすることで菌株の育種を行いたいと考えている。また、環境微生物にも興味を持っている。環境中の微生物はその99%が培養できない状況であると言われているが、培養を通して利用してきた1%の微生物からもすでに多大な恩恵を得ており、現在培養することができない微生物を培養可能にすることで、さらに多くの利を得ることができると考えられる。これまでの培養法では、気体成分として主に酸素濃度にばかり目がいっていたが、二酸化炭素濃度に着目して研究を展開している。

本テニュアトラックシステムについて

 テニュアトラックシステムによって、若手の研究者が独立して研究室を運営することができる。しかも、本システムでは孤立なき自立を目指したバックアップ体制が整っており、若いうちに恵まれた環境の中で独自の研究を展開できる機会を得られたことは、とても幸せなことである。さらに事務の支援体制もしっかりしていて、研究に集中できる環境をいただいている。また、信州大学のテニュアトラックシステムではエフォートの10%を教育に充て講義を行うことになっているが、講義を通して学生と接することは大学で研究をする上でとても大切なことであると思う。質の高い研究を行い、周囲の期待に添えるよう邁進して行きたい。

今後の抱負

 これまでに複数の研究室にて全く異なる研究を行ってきたことにより、たくさんの研究アイディアを蓄積してきた。目先のことばかり考えず、そういったアイディアをきちっと軌道に乗せ、今後の研究活動の礎を作り上げたい。また、大学での研究は教育でもあり学生との共同研究でもある。良い研究を通して良い人材を育成し、そして成果を残すという循環を作りたい。それによって今後もテニュアトラックシステムが根付くよう貢献できればと考えている。