信州大学

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蓄電池部門

蓄電池部門
未来の電池のあるべき姿

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現行リチウムイオン二次電池の限界ラインとされる 250Wh/kg を超越する高容量化と、二倍以上の高出力化を達成するための次世代革新型蓄電池の開発が多方面で研究されています。さらに、新規材料や電極/電解質界面の高度な制御方法が提案されていますが、実用化に向けた課題は山積しています。蓄電デバイス部門では、相界面制御による物質輸送の高効率化を指導原理として、フラックス法をはじめとした独創的で高品質な【結晶育成・相界面接合技術】によるエネルギーキャリアの伝導パスデザインを実現します。さらに、新規材料を組み込む電池モデルの構造・形状寸法・材料構成・安全性・出力・容量等の的確な策定により、ダントツ性能を示す蓄電材料や新しい蓄電方式を具現化し、その有用性を実証していきます。

研究内容


次世代結晶材料が拓く高出力・高エネルギー密度型Liリチウムイオン二次電池
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私どもは,フラックス法による自形結晶育成技術を基軸とした①結晶内のイオン伝導経路の予測(設計する),②結晶形状制御育成(育成する),③結晶面配向制御(そろえる),④パターン形成による結晶層の空間制御(転写する),⑤異相界面の精密接合(つなぐ),⑥イオン伝導パスの可視化(見える化)により,負極から正極までシームレスな超イオン伝導パスをもつ,高入出力対応バルク型酸化物系全結晶リチウムイオン『デザイン』二次電池の開発を進めています。結晶材料の設計,育成から電池の組み立て,評価まで一貫して行います。
 スマートフラックスの開発により,従来品に比べて低温プロセスで,バツグンの性能を有する高品質結晶粒子を育成することができます。特に,高速充放電動作させたとき,理論容量に対する容量損失を大幅に抑制できることがわかっています。形状制御された高品質結晶を一度に大量生産できることも,従来技術に対する優位性として挙げられます。また,最近では,結晶方位を制御した単結晶粒子からなる活物質結晶層を集電体上に直接形成することに成功しています。このように作製した稠密結晶層電極は助剤を必要としないことから,電極体あたりのエネルギー密度が大幅に増大します。その他,活物質結晶層表面から固体電解質結晶層を直接積層できるようになりました。固体電解質結晶層の膜厚が不均一になるという課題が残っていますが,固・固界面を原子レベルで接合できるため,全固体電池の課題となっている固・固界面におけるリチウムイオン拡散抵抗の大幅な低減を実現できると信じています。

メンバー