お知らせ

2019年度 公開シンポジウム 「寄生虫をとおしてみる知られざる世界―その多様性とおどろくべき戦略―」開催のおしらせ

2019.08.08 [ 自然科学館からのお知らせ ] 

信州昆虫学会、信州大学自然科学館(JST未来共創イノベーション活動支援)の主催にて、2019年度公開シンポジウム「寄生虫をとおしてみる知られざる世界―その多様性とおどろくべき戦略―」を開催いたします。
寄生虫の世界を覗いてみませんか?


日時:令和元年9月7日(土)
場所:信州大学理学部講義棟1階 第1講義室

プログラム
13:30 受付開始
14:00〜17:00
講演1.「寄生昆虫の世界―肉体を、社会を、労力を搾取する」
小松 貴 氏(国立科学博物館)

講演2.「絵描き虫の摂食パターンからみる植食者と寄生者の攻防」
青山 悠 氏(京都府立大学・院・生命環境科学)

講演3.「ネジレバネに操作された宿主ハナバチの訪花行動と送粉共生系への影響」
中瀬 悠太 氏(信州大学・理)

講演4.「寄生虫ハリガネムシがつなぐ森と川の生態系」
佐藤 拓哉 氏(神戸大学・院・理)

総合討論 
コメンテーター 上田 昇平 氏(大阪府立大学・生命環境科学)
コーディネーター 井坂 友一 氏(信州大学・医)

〇会場(信州大学理学部講義棟1階 第1講義室)へのアクセスはこちら

 事前申し込み、入場料は不要です。是非お気軽にお越しください!


【お問い合わせ先】
MAIL:ktojo@shinshu-u.ac.jp ((信州大学理学部生物コース内東城研究室)
TEL:0263-37-2433(信州大学自然科学館事務室)

【寄生虫とは】
寄生虫とは他の動物を宿主(しゅくしゅ)として何らかの被害を与える生き物で、
わたしたちの身近な例では、人体の中に寄生するサナダムシや、飼育していたチ
ョウの幼虫体内から出てくる寄生バエや寄生バチなどがあります。寄生虫は、この
世界で知られている生物の種の約半数を占めるとされるほど、生物多様性が高いグループです。
「寄生」というと、宿主の体内で生活する、というイメージがもたれますが、「寄
生」には様々な種類や呼び名があります。例えば、寄生者の寄生部位が宿主の体内
であれば内部寄生、外部であれば外部寄生と呼びます。前述した寄生バエや寄生バ
チのように寄生虫の成長過程で宿主を殺してしまう様式を捕食寄生と呼びます。他
にも、社会性昆虫であるアリの巣の中で生活する社会寄生(労働寄生)などがあります。
このように寄生様式は寄生虫の種ごと様々です。
 一方、寄生される側、つまり宿主もいつまでも寄生虫にやられてばかりではありません。
寄生虫に搾取されないように、防衛方法を進化させてきたと考えられます。寄生者と
宿主の関係を研究することは、両者の攻防(軍拡競争)を介した共進化劇をかいまみる
チャンスなのです。
 寄生虫が進化の過程の中で得た重要な能力のひとつに宿主操作があります。例えば、
ハリガネムシは川の中で交尾・産卵するのですが、陸上ではカマドウマやカマキリなど
に寄生しています。そこで、ハリガネムシは宿主を操作し、川へ飛び込ませます。ハリ
ガネムシは、宿主が水に飛び込んだら宿主の体内から脱出して、水中で交尾・産卵をお
こなうという生活史を持つことが知られています。この宿主操作により川へ飛び込んだ
宿主が、川に生息する魚類などの餌資源となります。見方を変えると、寄生虫による宿
主操作が、カマドウマやカマキリなどを魚類の餌とさせる、すなわち、陸域と水域の生
態系間をつなげる働きがあるといえるのです。
 本シンポジウムは、寄生虫に着目して研究を行なっている新進気鋭の若手研究者らに
よる話題提供をとおして、魅力的な寄生虫の世界を知り、寄生虫とその宿主、そしてそ
れらを取り巻く自然環境・生物多様性について考えるきっかけになること目的としています。
 意外と身近に存在している寄生虫の世界を覗いてみませんか?
 

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