総合人文社会科学研究科とは
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総合人文社会科学研究科について
研究科概要
総合人文社会科学研究科(総合人文社会科学専攻)は、人文科学から社会科学にわたる幅広い学問分野を網羅する利点を生かして、幾つかの要因が複雑に絡み合った地域社会の課題の原因を、確かな専門知識と技能に基づき、他分野の仲間と協力して分析解明し、解決する方策を提示するとともに、地域の特性を生かした新たなプロジェクトを創造提案できる人文・社会科学分野の地域中核人材を養成することを目的として設置されました。
総合人文社会科学研究科の特長
共通基幹科目等による分析力・俯瞰力・応用力・提案力・倫理観の養成
地域中核人材として、複雑な地域課題を解決するためには、専門分野の高度な知識・技能、専門分野近傍の領域の知識に加えて、人文科学及び社会科学分野の知見を有機的に駆使するために、基本的・総合的なスキルである分析力・俯瞰力・応用力・提案力・倫理観の養成が不可欠です。これら能力の修得を図るため、共通基幹科目群(必修科目は8単位)として、「解析手法論」「人文社会科学研究者倫理」「社会課題別PBL」「人文社会科学修論課題合同発表」を開設します。また、新規の課題に対応する俯瞰力・応用力を養成することを目的に自身の所属する分野以外の分野の科目を1科目以上履修します。
臨床心理士・公認心理師資格取得に対応した心理学分野の新設
本学では、人文科学研究科に心理学領域を置き、様々な心理学的事象のメカニズムを科学的に探求する態度と能力の深化を目的として教育研究に取り組んできました。
教育学研究科においても、日本臨床心理士資格認定協会が認定する第1種指定大学院として、臨床心理士を養成してきました。平成30年度からは国家資格である公認心理師のカリキュラムにも対応し、心理的諸問題の解決に資する教育・研究を行うことのできる教育・研究体制を整えています。
今回の改組では、2つの研究科に分散していた教育人材を結集し、協働して新たに心理学分野の修士を養成するとともに、厚生労働省・文部科学省、並びに日本臨床心理士資格認定協会により定められた臨床心理士・公認心理師資格取得の要件を満たしながら、所属する分野の課程を修了できる臨床心理学コースを用意しました。
法曹とは異なる深い学問的素養を身につけた人材を養成する法学分野の新設
本学では、平成28年度に経法学部を設置し、学士(法学)の養成を開始しました。長野県内で初となる学士(法学)を授与する学部の設置は、若者の県外流出に歯止めをかけることとなり、地方創生の観点から多大な貢献をしています。法学コースは、この流れをさらに進め、官公庁や民間企業の法務部門、法律に関連するいわゆる士業など(税理士を目指す方のために、税理士試験の税法科目の免除が受けられるカリキュラムを設けます)、地域社会における法曹とは異なった法律的専門性が求められる分野の需要を満たすことを目指すものです。本コースでは、隣接分野の学問的素養とともに、法律学に関する高度な専門知識と柔軟な判断力を備えた法学分野の修士の養成を目指します。
総合人文社会科学研究科 総合人文社会科学専攻の構成
分野 | 修業年限 | 取得できる学位 |
---|---|---|
人間文化学分野 | 2年 | 修士(文学) |
心理学分野 | 2年 | 修士(心理学) |
経済学分野 | 2年 | 修士(経済学) |
法学分野 | 2年 | 修士(法学) |
教育・研究の目標
研究科の目標
総合人文社会科学研究科は、本学の教育・研究の理念である、「信州の豊かな自然、その歴史と文化、人々の営みを大切にします。」、「その知的資産と活動を通じて、自然環境の保全、人々の福祉向上、産業の育成と活性化に奉仕します。」、「世界の多様な文化・思想の交わるところであり、それらを理解し受け入れ共に生きる若者を育てます。」、「自立した個性を大切にします。」、並びに「信州大学で学び、研究する我々は、その成果を人々の幸福に役立て、人々を傷つけるためには使いません。」、に基づき、信州の豊かな自然環境のもと、地域に根ざし世界に開かれた大学院として、それぞれの専門分野において社会に資する有為な人材を育成するための教育とその土台となる研究を推進することを研究科の目標とする。
教育上の目的
本研究科は、人文科学から社会科学にわたる幅広い学問分野を網羅する利点を生かして、幾つかの要因が複雑に絡み合った地域社会の課題の原因を、確かな専門知識と技能に基づき、他分野の仲間と協力して分析解明し、解決する方策を提示するとともに、地域の特性を生かした新たなプロジェクトを創造提案できる人文社会科学分野の地域中核人材を養成することを教育上の目的とする。
教育の質を保証するための教育体系として、総合人文社会科学研究科(総合人文社会科学専攻)の「入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)」及び「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」、並びに「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」の 3つの方針を策定し、その具現化と整合化を実現する。
育成する人材像と養成する能力
養成する人材像
地域特有の課題に対して、自身の専門領域の高度な知識と技能に加えて、複数の学問分野にまたがる総合的な知見として、当該課題を客観的に分析解析する能力と課題全体を見渡せる俯瞰力や他分野への応用力を備え、他分野のメンバーとも協働して課題解決のための方策を提案することができる高い倫理観を持った地域中核人材
養成する能力等
人文・社会科学分野の地域中核人材の会得すべき能力等は、
- 課題解決のための基盤である専門分野の高度な知識と技能
- 複雑な課題の要因を解明するための分析力
- 自身の専門分野以外の側面から広く課題を捉えることできる俯瞰力
- 専門分野以外の新規課題へ専門分野の知識と技能を応用する応用力
- 専門分野の新規プロジェクトを創造提案できる提案力
- 人文・社会科学分野の地域中核人材・研究者として備わっているべき倫理観である。
臨床心理学コースの学生は上記に加え、
- 心理支援に関わる専門知識と技能
- 対人援助職に求められる倫理的判断力
- 他分野の専門家と連携する力
が求められる。
教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
総合人文社会科学研究科(総合人文社会科学専攻)は、学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)に基づき、以下のようにカリキュラムを編成・実施する。
本研究科の教育上の目的を達成するために必要な授業科目を開設するとともに、研究指導の計画を策定し、体系的に教育課程を編成する。学生は、下記の科目群から担当教員との相談のもと、専門分野の科目(専門基盤科目、専門発展科目)を中心に、分野横断的科目(共通基幹科目)について、将来像を明らかにしつつ個々に授業科目を選択する。なお、自身の所属する分野以外の分野の科目を 1科目以上履修することとする。
共通基幹科目群
共通基礎科目
- 「解析手法論Ⅰ・Ⅱ」(養成する能力:分析力、俯瞰力、応用力)
各専門分野の情報の量的・質的な分析方法を修得する。各分野固有の分析手法を学習し分析力を身につけるとともに、分野間における手法の差異を認識することにより、多面的に展開できる応用力を身につける。 - 「人文社会科学研究者倫理 A・B」(養成する能力:倫理観)
学生がその後の修士学生としての学修・研究生活を送る上での基本的な倫理観を修得する。
分野横断科目
- 「社会課題別 PBL A・B」「人文社会科学修論課題合同発表 A・B」(養成する能力:俯瞰力、応用力、提案力)
研究成果の発表を、様々な研究領域を有する教員及び大学院生を交えた社会課題別 PBL・人文社会科学修論課題合同発表で行い、他分野における独自の方法論や思考過程を理解し、吸収することで、自身の研究課題の理解がより深まると同時に新規の課題に対する俯瞰力・応用力・提案力を身につける。また、実践的な対話能力・議論能力や、分野外からの研究ヒントによってイノベーティブな研究を志向する力を身につける。
専門基盤科目群(専門分野における高度な知識と技能[専門基礎力])
- 「分野コア科目」
人文・社会科学の各専門分野のコアとなる科目である。この科目によって学士課程で身につけた内容から、より高度な専門分野の知識・技能を身につける。
専門発展科目群(養成する能力:専門分野の基礎知識・技能を発展させた内容、応用力、提案力)
- 「分野発展科目」
専門基盤科目の発展的内容を修得する。多領域の科目を横断的に修得できる履修体系とすることで、人・社会を探究する学問分野間の総合的な知見を身につけ、俯瞰的・客観的な視野を有しながら、従来の学問領域における未踏分野を開拓する力、複合的な新領域を創造する力を身につける。
- 「アクションリサーチ系科目」
アクションリサーチとは、直接、本人がその対象課題を持つ地域の現場に赴き、地域住民等の生身の人間と関わって研究を行うスタイル全般を示す。アクションリサーチ系科目は、このような研究スタイルを取り入れた授業で「実習」、「演習」、「実験」形式の授業が主体となる科目である。対象課題は、人間文化学、心理学、経済学及び法学のすべての教育分野とそれらの融合した分野に及ぶことから、人文社会科学分野共通の新しい研究スタイルを授業に取込むことに着目し、「アクションリサーチ系科目」として開講する。この授業では、地域現場でもある産業界等との協働によるインターンシップ(ISP)及びアクティブ・ラーニング(AL)を取り入れた体系的・組織的な教育を一層積極的に進める。多領域のステークホルダーを動員し、地域・社会の課題に対して主力的に取り組むことで、総合的なシナリオを提示できる問題解決能力を身につけ、他者と協働する力を向上させることが狙いである。
成績評価の公正さと透明性を確保するため、成績の評定は、学位授与の方針に基づき各科目に掲げられた授業の狙い・目標に向けた到達度をめやすとして採点する。
【評価方法】
- 講義科目においては、理解度を見る筆記試験やレポート、参加度により、授業達成目標への到達度を判定します。
- 演習、実験、実習、実技科目においては、試験やレポートに加え、参加度や発表内容、実技等を通して、授業達成目標への到達度を判定します。
- 授業達成目標への到達度は、可能な限り複数の評価手段によって判定します。
学位論文に係る評価並びに修了の認定は、客観性及び厳格性を確保するため、その基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準に従って適切に行う。
学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
総合人文社会科学研究科(総合人文社会科学専攻)では、信州大学大学院学位授与の方針のもと、研究科の目標と教育上の目的に則り、社会の課題を分析解明してその解決策を提案するとともに、人文・社会科学分野の地域中核人材・研究者として不可欠な以下の知識と能力等を十分培い、かつ、分野ごとに定められた学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)に適う知識と能力等を有する学生に「修士」の学位を授与する。
成績評価の公正さと透明性を確保するため、成績の評定は、各科目に掲げられた授業の狙い・目標に向けた到達度をめやすとして採点する。
学位論文に係る評価並びに修了の認定は、客観性及び厳格性を確保するため、その基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準に従って適切に行う。
1.専門基礎力
自身の専門分野における高度な知識と技能を有する。
2.分析力・応用力
量的・質的分析方法を身につけると同時に、各領域独特の解析手法を学習し、分析力を培うとともに、領域間における手法の差異を認識することにより、各領域の特徴を学び多面的に展開できる応用力を有する。
3.提案力
多領域のステークホルダーを動員し、地域・社会の課題に対して主力的に取り組み、問題解決に不可欠な統合的なシナリオを提示する提案力を有する。
4.俯瞰力
人間と社会を探究する学問分野間の総合的な知見を活かし、俯瞰的な視野で課題を捉える力を有する。
5.倫理観
人文・社会科学分野の地域中核人材・研究者として備わっているべき倫理観を有する。
信州大学大学院 ディプロマ・ポリシー
各分野のディプロマ・ポリシーは、それぞれの分野のページをご覧ください。
各分野のディプロマ・ポリシー
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
総合人文社会科学研究科(総合人文社会科学専攻)では、真理を探究する確かな基礎研究と実証に基づく高度実践研究との融合知の蓄積、地域を活かす学びの環境を基盤にして、独創的な提案力を持ち、問題解決に向けた課題の整理、課題解決のための計画・実行力を持った地域中核人材の輩出を目指しています。そのため、次のような資質・能力を備えている学生を求めています。
1. 知識・技能
- 専門領域の基本的な専門的知識・技能を有している者
2. 能力
- 情報の収集・分析を通じた研究を行うために必要な考察力・思考力を有し、問題関心・課題や分析内容を平易かつ的確に表現することができる者
3. 意欲
- 学問研究に対する強い意欲を有している者
- 社会が抱える課題の解決に取り組む意欲を有している者
上記の素養を持つ大学院生を選抜するために、一般選抜では各専門領域に必要な専門試験を課すとともに、面接では必要な知識と基礎学力に加え、学問研究や社会の課題解決への意欲を判定します。また成績証明書・研究計画書などの評価を加えて総合的に合否を判定します。
各分野のアドミッション・ポリシー
修士論文評価基準
総合人文社会科学研究科における修士論文の評価基準、審査項目、審査方法を掲載します。論文審査および口頭試問等を経て、審査委員会が最終的な評価を決定します。
修士論文評価基準
審査委員の体制
学位論文申請者1名について3名以上の研究科の研究指導教員(主査1名、副査2名以上)をもって組織する審査委員会を設け、学位論文等の審査及び最終試験を行います。各分野が必要と認めた場合、外部審査委員として、他の研究科、他の大学院又は研究所等の教員等を副査として加えることがあります。
総合人文社会科学研究科パンフレット
総合人文社会科学研究科のデジタルパンフレットは、信州大学Webページをご覧ください。
研究科パンフレット