生物学コース 進化人類学分野
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進化人類学分野とは
「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」を探る学問です。当研究室では、ヒトを含む霊長類の行動観察(+ゲノム科学、安定同位体分析、非接触バイタルセンシング技術など)によって、霊長類の生態と進化史の解明に挑んでいます。
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生活史:離乳の種間・種内・個体間の多様性
親にとって離乳とは、現在の子から次子へと自身の資源の投資先を変える時期であり、子にとっては母親からの授乳や保護をなるべく多く・長く引き出そうとする時期と言えます。離乳は出産間隔や性成熟など他の生活史形質とも密接に関係しており、哺乳類の生態を語るうえで外すことのできないイベントと言えます。離乳時期の母子間の葛藤がどのように解消されていくかには、種間や種内、さらに個体間でも大きな違いがあり、本研究室ではそれらを霊長類の行動観察(+α)によって紐解こうとしています。
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社会構造:マクロ・ミクロ両方の視点で迫る
霊長類種の多くは、複数の個体が集まって社会生活を営んでいます。そして、どういったオスとメスが繁殖するか、どのように子育てが行われるか、出自集団から移出するのはオスかメスかなど、社会のありかたは極めて多様性に富んでいます。本研究室では、霊長類の社会のありかたについて、人口統計学的データの分析、個体同士のやりとりの観察、安定同位体分析を用いた物質移動の軌跡、集団間の遺伝的交流・多様性のゲノム解析など、マクロ・ミクロ両方の視点から迫ろうとしています。
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生態:温泉を含む生態系における霊長類のニッチの解明
初期人類の化石発見現場として名高いオルドバイ渓谷の170万年前の地層分析から、当時そこに温泉が存在していたことが報告されました(Sistiaga et al. 2020:PNAS)。本論文では、初期人類が火よりも先に温泉で食物を熱処理していたのではないかと推測されていますが、そもそも野外環境下で温泉を「利用」することが報告されている霊長類は、ヒト以外には信州・地獄谷のニホンザルのみです。温泉が人類進化に与える影響…とまで言い切る自信はまだありませんが、まずは、温泉を含む生態系において霊長類がどのようなニッチを占めているか、という大きなテーマを据えて、温泉に集まるニホンザルやニホンカモシカなどの哺乳類、昆虫、微生物、温泉成分などについて、近しい研究者の方々にもご助力いただきながら、研究を進めたいと考えています。